ネコレポート③〜アイカさんの欠片+兄の残骸+ヒロさんの覚悟+タツは馬鹿=道徳の向こう側

※ネコが余談と言ったらタツの話なので興味のある方だけお願いします…



 私は 『不知火』 幹部会にいる… 正確には幹部会が隣のちゃぶ台で行われている…その隣のテーブルで椅子に座り、水泳教室で指導をしていた中学生のチカちゃんと一緒に夕飯をご馳走になっている。


「それでね、真田先輩(ネコ)それでね、タケシがね・・・「ほら、ちょっとお父さん、ネコちゃんと話があるから棺と遊んでおいで」


「えーっ久しぶりに会ったのになにそ… 「いやいや、後でじっくりお話しようね、チカちゃん」


「約束だよ〜? 真田先輩!」「うんうん、約束!」


 そう、私がこの家に来た本題は不知火のトップである御館様、つまりチカちゃんのお父さんに、先輩達4人の事を相談しにきたのだ。


 さっきまでコケシ馬鹿に関する会議で異様に怖かった獅子川さんが、今度は露骨に優しく口火を切る。

「さっきの事は忘れよう…では…本題の相談を聞こうか?安心して!我々、不知火の近衛衆は、前にも言ったけどネコを全面的にバックアップする事を約束するよ!既にお兄さんとヒロ君はそれなりの者を付けているから安心してね!」

 

「よろしくお願い…します」



 私は…私の信頼している大人に相談する事にした。何故なら私ではどうにも出来ないからだ。


 悪夢のラブホの後、心が折れた兄は2人の時に今までの経緯と知っている事を教えてくれた…兄は脅迫もされているらしく不知火の保護下に入る事を伝えると、涙を流しながら堰を切ったように語り始めた。

 そして、その足で『ヒロとアイカに謝ってくる』とフラフラと出ていった。

 ヒロさんとは話がついたようだが…アイカさんとは未だに続いている…しかし事情を知ってしまった今、兄にアイカさんと会うのは止めるように…とは言えない…


 そして夏休みの初め頃、アイカさんに電話した。

 コケシ馬鹿と行動をしている事で、不知火と関係がある事から警戒されていると思い、自分から…敵対している不知火に入ったのは皆を何とかしたいからという理由も伝え、会いたいと言った。

 アイカさんが夜、公園で会ってくれるという。

 そして夜お互いにベンチに並んで座り…意を決した様に語り始めた。


「ネコ…これはね…いつかね…ヒロが幸せになって…アイカはあの時…どんな事やって…何を思っていたのかな?…何て言いだしたら…伝えてほしいな…」


 私の主観も入ってると伝えた上で、不知火の面々にアイカさんから聞いた話を伝えた。


 小学生時代…家が近所の仲良し4人組がいた。

 元気でヤンチャな男の子のヒロさん、真面目でかわいい女の子のアイカさん、無口で男みたいな女の子のタツさん(コケシ馬鹿)、気弱で女の子みたいな男の子だった兄、ネト。

 4人はいつも一緒にいた。時には喧嘩し、時にはイジメっ子に一丸となって立ち向った。

 4人はいつだって繋がっていた。


 しかし中学に入り…4人は変わっていった。

 最初の変化はヒロさんが不登校になった事だ。 

 きっかけは先輩にボコボコにされたとか色々あったらしいが、本人は「情けないけど、上手くいっている他の2人に嫉妬していただけ」と言っていた。

 叔父さんのいるヤクザの事務所に入り浸り、タツさんの道場に週1〜2回現れるだけの生活を送るようになってしまい、アイカさんと兄、そしてコケシ馬鹿はとても心配したそうだ。


 そしてアイカさん…中学3年の時、ヒロさんもおらず、兄は部活で忙しいので、幼馴染以外の拠り所を求めクラス替えで新しく出来た友人と親しくなった。

 その友人は大学生のお姉さんと一緒にモデルやコンパニオン?の紹介の仕事をしていたそうで、最初は真っ当な派遣業かと思い、大人のパーティやクラブ、知らない世界で遊んでいるつもりで、そのお手伝いをしていたそうだ。


 ところが…残念ながら知れば知るほど…。

 自分が新しく出会い紹介した女の子達が…どうしてもお金が必要な事を理由に食い物にされていた。

 法律を知らべれば自分のやっていることが犯罪であると知った。

 管理していた友達の姉のグループのやり方は、個人間のやり取りで本人に全責任を負わせ、紹介料で上げ前をはねるだけ。

 そのようなやり方をしていれば、脅迫や強姦などの事件や事故が多発し、本職にも警察にも目をつけられていた。

 その姉に見捨てられた同級生の友人と何人かが見捨てられ…最後は友人が焼身自殺をし、妹を犠牲にした姉の方もまた、グループに見捨てられ失踪した。


 アイカさんはこの事から…どうしてもお金が必要な同年代…拠り所の無い女の子達を何とかしたいと思ってしまった…まだ中学生なのに…。

 考え方にもよるし、今になってみれば他にやりようがあったのかも知れないけど…複数回の性行為で最悪の未来から逃れられる。

 もし自分が関わっていれば…救えたかもしれない…目を背けたから友人が自殺する最悪の結果になったのだと…

 アイカさん自身は恵まれていた『親』という本来頼るべき者に、見放され見捨てられた女の子が沢山いる。

 違法行為といえどその中で正しく運用出来れば沢山の女の子が救われる。

 

 アイカさんは自分のやっている事は違法なので褒められたものではないと言った上で…クズの華という売春組織の理念…薄利多売と明確な運用、そして安全の確保。ただしそれは客へのでは無い、組織の利を減らす薄利…つまり女の子への還元の高さに重きを置いた。

 それは現役の学生が学生を扱う上で絶対に成功するシステムだった…信用と実績で噂が噂を呼び、女の子はこぞって『クズの華』に登録・参加する…噂で人が回る理想のシステムが出来上がった、更に真摯に運営を続けた…それを仕切っているのが学校でも成績上位の美小女。広告塔としても十分だった。

 しかし結果的に頭はキレるものの、まだ中学生のアイカさんは、沢山の女の子を救うあまり規模が膨れ上がり、様々な反社に目をつけられ初めていた。


 そんな時に、ヒロさんとコケシ馬鹿が道場でいかがわしい事をしていた噂や、自分のやっている事を土橋にバレて脅迫されているところをヒロさんがヤクザになるという条件で救われしまい、同時にコケシ馬鹿の家柄や才能の秘密を知ってしまう。

 あらゆる事実と現実を知り…最後に人伝に聞いた土橋に言ったヒロさんの言葉が引き金になり、アイカさんは堕ちる事を決めたそうだ。


『ふんぞり返って俺達を好き勝手に弄ぶ奴らに絶対屈しない。ヤクザになって腐った権力者を皆殺しにする。俺は…幼馴染に手を出した奴らを絶対に許さない』


 アイカさんは、タツさんがいる限りヒロさんと一緒になれる事は無く、またタツさんとヒロさんが一緒になることも無いと思っていたという…


「私は…大好きなヒロとは別の道でヒロを支えようと…ヒロがヤクザでもなんでもいい…立ち上がった時…金銭面でもいいから…側に居れる様にって思ったんだ…だってタツとヒロは…きっと一緒になれないんだから…」


 このヒロさんの発言をコケシ馬鹿に確認したが『皆殺しってしゅごい(笑)土橋の時その場にいたけど、ヒロはそこまで言ってなかったよ?怖いな噂って。後、一緒になれないってなんだよ?』と言っていた…ただしコケシ馬鹿も信用(記憶力)が薄い。

 私が思うに…アイカさんは都合の良いように取ったのだ。その事をアイカさんにぶつけると…目を伏せて「やっぱりね」としか言わなかった。


 そして反社に目をつけられていたアイカさんだったが、そこからは早かったようだ…

 組織売春で必要なのは、圧倒的な量の商品オンナと、価値を下げない為の抑止力ぼうりょくだと気付き、すぐ動いた。


 まず、『叛徒ハント』と呼ばれる新しい形の暴力団と組み、更に規模を拡大させた。

 当時、『叛徒』のトップだった男からヒロさんと同じ匂いを感じ、ヒロさんとまともに付き合える事はもう無いと思っていたアイカさんは、その男の数いる女のうちの一人になり、初めてそういう事をしたそうだ。


「興奮はするけど…だからなんだって感じだったよ…でもね、ヒロのこと考えながらすると…ははは…恥ずかしい…」

 

 ただ、外見は大人びていたアイカさんも実際はまだ高校生にもなっていない…思春期でありながら大人顔負けの管理は大きなストレスで、薬の誘惑は退けたものの、代わりにヒロさんの事を思いながらする性行為の依存症になってしまった。


 アイカさんにとって正気を保てるのは性行為中やその後にヒロさんや幼馴染達の事を思い出す時だけ…そして友人からアイカさんの現状を聞いた兄がアイカさんを助けようとして…幼馴染との絆を捨てきれないアイカさんは藁にもすがる思いで兄と交わってしまったそうだ。

 幼馴染達と関わっていると思うだけで頭がクリアになる…頑張れるそうだ…


 そして、アイカさんにとって更に想定外が起きる…ヒロさんから告白された事だ。

 ある意味最悪だった…アイカさんは捨てた筈の未来が…捨てていたからこそ辿り着いた今があるにも関わらず…もう引けない所まで来ているのに…


『私も ずっと好き 


 過去形なのはアイカさんなりの最後の理性の抵抗。断らなければいけない…理性はそう言っていたが、告白を受けたと同時に自分は狂っていると思ったそうだ。


 そしてヒロさんへの日常の様な淡い愛に溺れた…

 アイカさんはあの時…全てを打ち明けていれば…いや、どうあっても全てを失うことが決まっていたという…一緒に勉強し…一緒にご飯食べて…登下校して夏休みを楽しんだ…帰ると死にたくなるそうだ。

 まるで自分が二人いるような感覚のまま生活なんて出来る訳もなく…更に今の自分『クズの華』の行動原理だった理想のヒロさんの思考は…ヤクザになると…子供の頃、注意しても言っていた人殺しになると言っていたヒロさん既に無く…自分の想定していたものとは真逆だったという。

 いや、最も恐ろしいのは…自分の過去の理想、清く正しく真っ当に生きると言っていた自分の姿をヒロさんは目指していた事だった…

 アイカさんは2つの自分が存在する事に進む事も引くことも出来なくなった。


 ちなみに兄は、アイカさんや叛徒の事を調べていたが…アイカさんの病に飲まれ…叛徒の規模の大きさに飲まれ…更には叛徒から脅迫され…最早、兄の打つ手が無くなってしまった。

 せめてヒロさんにアイカさんの事は嫌わないでほしいと、自分がクズである事をヒロさんとタツさんにアピールする事しか出来なかった。

 その事でアイカさんの秘密、売春や叛徒の事を、2人から隠したかった。

 兄もまた精神を病んでいたが、その時はまだ頭が働いていた。ヒロさんは自分が間男なのを知っている…そして覗いていた事を気付いていた。

 しかし同時に自分が好きだったタツさんとヒロさんが道場でしていた事も知ってしまい、自分のいる世界がまともでない事に兄は壊れた。

 もう、まともな関係には戻れない…兄もまたタツさんが好き…というより幼馴染達が好きだった…守れなかった弱さ…自分の無力と不甲斐なさと現実を受け入れられなかった…だから壊れた。

 自分は大切な幼馴染を犠牲に快楽を享受しているだけのクズだと…だから『気持ち良い』と自分に、他人に言い聞かせる。もうそれしか頭が働かなくなった。


 そしてアイカさんも…高校一年の秋…夏を過ぎた頃…限界が来たという…

 リアというアイドルの相方が出来て、更に急速的に規模が大きくなり、気付けば叛徒の幹部になっていた…負担が増え、引き返す事が出来なくなった…依存症の我慢も効かなくなった…頼れる人はおらず、親には言えず、現役高校生というブランドも大きい為、クズの華の自分と、カーストトップの高校生を演じるという、多大なストレスから、ところ構わず兄に要求するようになった…そしてヒロさんといると欲求が止まらなくなるという症状に変わり…距離を取り始めた…最近は思考が止まる事が…記憶が曖昧になることが多くなったそうだ…もう多分、色んな事が綻びだらけで終わりは近くまで来ていると言った。


「ネコ…不知火に入るのは良いけど…私みたいになったら駄目だよ…思い込みは時に力になるけど、同時に過ちに気付けなくなるの…この前…ヒロの将来の夢を聞いたんだ…自分で考えられる人…過ちに気付いて引き返せる人…やっぱヒロは凄いね…憧れる…今の私が言ってもだけど…今もヒロを心から愛しているし…大好きなんだよ…」


 アイカさんは続けて…首から下げてるペンダントの様な物を握りしめながら言った…


「コレは、ヒロに絶対に言ったら駄目だよ?私ね…ヒロの態度から何となく気付いてたんだ…」


 アイカさんが遠くの星空を見る様に顔を上げた…


「ヒロ…私とネトの事、その他の事も多分知ってるんだよねぇ…タツと一緒で見たり調べたりしてると思う…だぶん…クリスマス…ぐらいがらがなぁ…ばがみだいだげどざぁ…うれじがっだんだよぉ…ひどいごどじだのに…ごんな…わだじのごど…知ろうとじでくれでぇ…だからざぁ…ずぅっど…じらないふり…しちゃっだぁ…」


 ペンダントを持った手でそのまま顔を覆う…


「うう…うあぁ…ビロど…わたじ…ごいびど…だっだんだなぁっで…あい…ざれでだんだっで…うぅ…ぎぼぢ…ぞれだけは…づながっでだんだなぁっで…うれじがっだんだょぁ…あぁあ…ビロぉ…ごべんぅ…ごべんなざいぃ!…うぅ…なんで…わだじぃ…ビロにぃ…」


 そう言いながら…アイカさんの懺悔は終わった。

 話を聞いたのが夜の公園だったから、暗くてよく見えなかったけど…ベンチの下にポタポタと沢山の雫が落ちていた…アイカさんの本音、沢山の感情の雫…それを見て…私も少し泣いた…


 感情の昂りが収まったのか、ズズっと鼻をすすりアイカさんが立ち上がった。


「もうヒロには…ただ謝るだけじゃすまない所まで来ちゃった…タツにも言われたけど…これだけの罪を償える罰ってなんだろうね…ん~無知だったとはいえ…はぁ…きっと死ぬだけじゃ収まんないよねぇ…そう言えば…不知火って断罪の組織って聞いたんだけど」


「えぇ、先輩…というか上司からそう聞きましたが…」


「私は自分でも何やってるか分からなくなってきちゃってるし、タツの考えてる事も良く分からないからさ!誰も止められなかったら…不知火のネコ!ネコが私を…私達を断罪してね!ヨロシク!ニヒヒ(笑)」


「なんかごめんね、ネコ…ありがと…バイバイ!」


 最後、少し笑ったような気がして…だけどそのまま暗闇の中に消えていった。


 後日、ヒロさんに伝えた…アイカさんが言っていた…『ヒロが知ろうとしてくれて嬉しかった』

 あれは私の勝手な解釈だが、ヒロさん、いや、幼馴染3人には知って欲しかったんだと解釈した。

 今更言えない言い訳…何となくわかる気がする。


 ヒロさんは

「タツから何となくは聞いてたし、ネトからも聞いたけど、アイカがそんな…そうか…」

 としか言わなかった。


 でも…そこにはいつもの優しいヒロさんじゃなくて、今まで見たことの無い鬼の様な表情の顔のヒロさんだった。思い詰めている様な、何かを覚悟したような…正直怖かった。


 その話があったのが7月…そして今は9月…


 ヒロさんはヤクザの叔父さんの所に行ったり来たりしている…

 兄はアイカさんの動きをヒロさんにつたえていた…2人は何か考えがあるようだが…無茶はしないでほしい…


 アイカさんは…兄によると、死への恐怖と、組織も狂って来ていて、アイカさんも精神を病み「ネトの子供を作ればヒロと性行為が…ヒロと結婚できる」とか言っているらしい…


 不知火の叛徒壊滅が決行されるまで…着々と迫っていた。


 ちなみにコケシ馬鹿は…「コ○君とひ○みちゃんの必殺コラージュざまぁをやりたいから電気屋行ってプロジェクター買ってきた」と言って、大型のプロジェクターを買ってきた…体育館でやるの?

 土橋さんとコケシ馬鹿が肩組んでいる写真を拡大コピーし、PCを持っていない為、コケシ馬鹿の顔に私の切り抜いた顔写真を貼り付け、私が三億円事件の犯人みたいになっている謎のコラを作っていた…いや、コラージュざまぁじゃないでしょ?後、何故、私に?


 



 とにかく話を聞いてくれた千代さんが号泣していた…

「やっぱり!アイカ救われエンドがあるべきだよマゴ君!聞いてるのっ!?マゴ君!if!イフだよ!」


「ん〜、いつの時代も…しかしまぁ千代は本当にざまぁされる側に感情移入するな…とりあえず…そのアイカちゃんを救出するけど…組織背負ってるっぽいし、多分…自死するのも覚悟で動かれるだろうから…当日まで無理だな…棺、今回仕事多いぞ…いけそうか?」


 棺さんが珍しくニタリと笑った。

「この敬天愛人・棺、孫一様の仰せのままに♥死体以外の状態でよろしければイカヨウニモ♥」

 孫一さんの愛人と言われる外見は千代さんに似ているが、先程孫一さんに折檻?されたらしく顔が赤い。

 それぞれに指示が飛ぶ…私も!私は私の戦いをします…だからアイカさんも…どうか生きて…私に断罪されるまで…生きて下さい!




「ところでさ…ネコちゃん。タツちゃんの話が殆ど出なかったけど…何で?」


 ココだっ!私は思いの丈を御館様に告げる!というか告げ口する!チクる!愚痴る!


「まず、今までの情報はアイカさんからの言葉以外は殆どタツ(呼び捨て)も持っています。しかも1月の段階で!話を聞いてて思いました。アイツは何もしてないのではなく、関係無い事や余計な事しかしてないんです!なのにアイツに情報が全部集まってしまって…獅子川さんが抜けさせろって言ってるのに、馬鹿の脳みそは「とにかく煽れ」って聞こえてるんです!皆がすれ違いや、誰か思って行動している時に、全く誰も共感出来ない行動をとってるんです!しかも大体、現場にいるんですよ!キーマンがコケシ馬鹿だったというのが今回の悲劇なんです!」

「七敬天の決死の果たし状も!…何だと思っているか知ってますか?『昇給の試験だ、多分…コイツら全員倒したら時給から月給に変わるな!そしたら年1でボーナス出るようになるぞ』だそうですよ?私は七敬天に同情しましたよ!吉川さんだって七敬天背負って…相手はクラスメイトで…負けたら死ぬ覚悟で挑んだんです…しかもしっかり説明してるのに…それを『何言ってんだ眼鏡…ヒロを寝取りたいからって私の格好を真似した所で無駄だぞ。そこまで言うならアヘらせてやろう』とか全然意味分かってないんですよ!ハァハァ…」


「ま、まぁ…ネコちゃん頑張ろうね!」


 流された… 






 ここからは…余談ですがコケシ馬鹿に今の話をしたら、何て言ったと思いますか?


『後付設定かよ馬鹿!それでNTRっておかしいだろ、 常識的に考えて。良いからヒロだけでも寄越せ!何でオレに八つ当たりすんだよ?』

『あぁアレだ…異世界転生ものの小説見てて、異世界をエンジョイしてたのに急に神様との闘い始めるやつと一緒だ…あれもこれも言ってるうちに訳が分からなくなるやつ!アイカのヤツ、思いつき脳内設定を現実のものとしたか…頭の病気ですね、診察をオススメしたい。ヒロの恋人、それは普通の女、つまりオレ、代打でも監督でもない、恋人・オレ』


 何を言ってるのか全く分からない…普通が一番とか言ってる自分が一番普通じゃない事に気付いていますか?


『は?何いってるんですか?ラブホでくっさいウ○コ漏らす人に言われたくありませんよ、理想の上司はフリ○ザ口調』


 イライラする…相手にしてはいけないのにぃっ!

 不知火に入ってこの人が変な生き物だと聞いた…アイカさんが、ヒロさんとコケシ馬鹿が一緒になれないのは…コケシ馬鹿が不知火や阿修羅本家から生まれた時から頑強な肉体を持つ人、それが『破壊の化身』の生まれ変わりと言われているからだそうだ…でも本人に聞くと…


『意味が分からない。オレは破壊の化身では無い。化身といえばオレは学校で人気者で皆が釣り合わないと嘆く程の学園アイドルの化身、ヒロに恋する困った女、その名は藤原龍虎さん。カースト制度で言うとピラミッドが出来る!ちなみにこの間襲ってきたやつらだろ?オレが死なないとかいう嘘言ってんの?普通に死ぬから!ふざけんなよ!』


 ちなみ今の相談の前、先ほどまで幹部達の殺意の籠もった会議を思い出すだけでストレスが凄い。

 7月頃、不知火の誇る異能を持つ実力者達がコケシ馬鹿を葬ろうとした件で、コケシ馬鹿は果たし状を送ってきた6人全員に快楽麻酔浣腸という謎の液体を使い、コケシ馬鹿曰く全員アヘらしたのでボーナスポイントが付くと喜んでいた。

 馬鹿の戦法は…


①一緒にトラックに轢かれたり、私の屁を当てたり(相手は双子)、

②口を塞ぐため私のウ○コ食わしたり、

③電マは気持ち良いと聞いたと言いながら一緒に切れてる電線に飛び込んだり、

④組手と勘違いして普通に殴りまくり浣腸で漏らさしてる所を蹴り飛ばしたり(私の同級生)、

⑤最後の相手(コケシ馬鹿のクラスメイト)は、おつぱいじゃない、おっぱいと説教・骨を折る・異能により全身の反応速度と感度が上がった直後に例の浣腸・コケシ挿入・私のウ○コ・VR体験・一緒に学校の屋上から落下後、地面にコケシ馬鹿だけ激突するもビニール紐が2人に絡まり、少しぶら下がった状態で朝方に2人共コスプレ排泄物塗れで用務員に発見され、後日、教室で『見つかったのが用務員・臭○じゃなくて命拾いしたな、お互いに』と仲間ぶりながら声掛け。

 

 コケシ馬鹿の攻撃がほぼ全部自爆スタイルで、自分でも何言ってるか分からなくなるクソ話を、最後に最も被害を受けた絶望顔している本人(繰り返すがコケシ馬鹿のクラスメイト)の前で、喰らった本人の上司に証言するという恥晒し証人喚問に巻き込まれ、可哀想だ過ぎてメンタルが死ぬかと思った。


 いやだ!コケシ馬鹿の事はもう考えるのをやめる!

 

 私は…アイカさんを救えると思っている…幼馴染達の想い…不知火の力…そして私の覚悟!アイカさんは絶対に…救って見せる!


 と、言ってもどうしてもコケシ馬鹿の顔がよぎる…

〜何言ってんだネコ、救ってどうすんだよ、やるのはザマァだろ?ザマァ!〜

 くっ…不安要素はコケシ馬鹿一択だ…


 

 ※なんかメチャクチャ…ネコの愚痴が酷い。タツの話を削りましたが、タツの馬鹿みたいな闘いはラブコメと関係無いのでいつかまた!

 これで一応最終章に入ると思います(汗)やっと修羅場に入れるぞ!とタツは申しております♥

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