夕暮れの君に恋をした〜放課後の教室で君に一目惚れ〜
雪見桜
プロローグ 夕暮れの君に恋をした
『1.2.3.4』『『5.6.7.8』』
日中ギラギラ光る太陽も
柔らかく優しい日差しになる夕方
いつもの活気がなくなった校舎に
部活に精を出す生徒たちの声が聞こえる。
そんな中で校舎の廊下を
一人の男子生徒こと
「…ハァ〜だる、
やっと当番終わって帰れると思ったのに」
実習の当番も終わり作業着から制服に着替えさぁ帰ろうとした時に、
お使いを頼んだ担任の教師を思い出し
文句をぐちぐち言い続ける。
「最近農場の先生達から
頼まれごとするよな俺だけ…
まぁそれを馬鹿正直に受ける
俺も俺だけどな」
幸紀は、そう言いながら
お使いの駄賃としてもらった。
ミニトマトを袋から一つ出し口に入れる。
「うまっ!!やっぱり野菜専攻の
先輩たちが作った野菜は、美味いな〜
やっぱり来年野菜専攻にしようかな」
来年二年生になった時の事を考える。
幸紀の通っている礼成高校は、
5つの学科のうち3つは、
農業関係の学科である農業高校であり
幸紀は、その中の一つ園芸化学科の一年生である。
「しかし、当番忙しすぎだろ
野菜、畜産、花、果樹そして稲作
全部の専攻の当番をしないと
いけないんだから
専攻を選べる早く二年になりて〜」
そう言いながら学科の一つである普通科の
校舎に入る。
「それでこのプリント何処に
持っていけばいいんだろうか」
そう言いながらキョロキョロと歩きながら
周りを見る。
これを渡した担任の教師は、
普通科の確か児玉先生へとか言っていたが
その児玉先生が何処にいるのかがわからない。
「ん〜職員室か?それとも部活の方?
あっでも普通科は、夕課外てのが
あったな…まぁ職員室が確実か…」
そう言って、職員室に足を向ける。
道中の普通科の教室は、人っ子一人おらず
夕課外なるものも終わっているようだ。
「3年普通科…ここが2年普通科
それで最後が1年普通科か
確か児玉先生は、一年担当だったな」
幸紀は、そう思い出し1年の教室の開いてるドアからチラリと覗く。
「いるかな…っ!?」
パラ…パラ…
「………」
教室の中は、
夕暮れの柔らかい日差しに照らされ
開いた窓からは、風が吹き込みカーテンを
揺らす教室の中に、
黒髪の長い眼鏡をかけた女子生徒が一人
パラリ…パラリと本を読んでいた。
幸紀は、その光景に何故か身動きが取れなくなり胸がドクンドクンと高鳴るのを感じる。
(…可愛い……はっ!?
何考えてるんだ俺しっかりしろ!!
…でもその…ずっと見ていたい…
あぁ何考えてんだ!!)
幸紀が内なる何かと戦っていると
「……あの」と声が掛かる。
「………」
「えっ……と…あの」
声の方を見るといつの間にか本を読んでいた
女子生徒が目の前に不安そうな顔で立っていた。
(近くで見ると結構身長低いんだな)
「……可愛い」
「…へ?」
「…あっ!!いやっ!!
その…あの…」
ポロッと口から出した言葉に幸紀自身
驚きを隠せず何か言い訳を…と考えるが
上手く言葉に出来ず余計に頭の中が真っ白になる。
そんな幸紀を見て女子生徒も困惑して
微妙な空気が辺りを包む。
「…えっと、そのプリント」
「そっそうです。
これ児玉先生に渡さないといけなくて」
そう言って、プリントを見せる。
「そうなの?児玉先生は、今さっき職員室にいたよ」
「へっ?そっそうですかありがとうございます。じゃ…職員室に行きますね」
「うっ…うん」
幸紀は、女子生徒にお礼を言って歩き出す。
「って…待って!?」
「へっ?はっはい!!」
後ろから女子生徒に呼び止められる。
「職員室そっちじゃないよ」
「へっ?あっ…はい」
「大丈夫…?もしよかったら一緒に行こうか?」
まるで天使のような女子生徒が
とても優しい提案をしてくれる。
それに対して幸紀は、大きな声で返事を返す。
「はい!!」
「うっうん…じゃこっちよ」
幸紀の態度に少し引きながら
女子生徒は、案内をしてくれる。
「あっ俺…じゃなくて自分は、
柿崎幸紀って言います」
「えっ?…私は…花園…です」
「花園さんですね、可愛らしい名前です」
「…苗字です」
「へっ?……あっそうですよね、ハハ!!」
そんな会話をしながら
夕日に照らされる廊下を二人は歩いていく。
この日俺は…夕暮れの君に恋をした。
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どうぞ最後までお楽しみ下さい。
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