第4章 魔族襲来

1 武神、参戦する

 魔法戦団としての矜持と決意を示したい――そんなカタリナの意志を尊重したが、さすがにこれ以上は厳しいだろう。

 ここからは、選手交代だ。


 私はカタリナたちの前に出た。


 二体の魔族を見据える。


「――強いな」


 この間のバシューレと比べても、さらにもう一段か二段上の実力を持っているようだ。


「ま、待て、ガーラ……まさか一人で戦うつもりか……?」


 カタリナが驚いた顔をする。


「ここは連係したほうが――」

「悪いが、君たちでは彼らに有効なダメージを与えるのは難しいだろう」


 私はカタリナを見つめた。


「それよりも、君たちには君たちの仕事がある」

「えっ」

「街に出て、人々の避難を。もしかしたら、そっちにも魔族の兵なり魔獣なりがいるかもしれない」

「……なるほど、あり得るな」


 うなずくカタリナ。


「だが、君はどうする? まさか、あの二体をたった一人で相手するわけにもいくまい」

「まさかだって? 

「だから、この場は私に預けてくれ。あれくらいの相手なら慣れている」


 私はニヤリと笑った。


「かつての大戦で、な」

「えっ……?」

「不安なら、しばらく見ているといい。大丈夫だと思ったら、すぐに他の場所へ向かってくれ」


 言うなり私は地を蹴り、突進した。


 奴らが相手なら、私も存分に戦えそうだ――。

 そう考えると、久々に血沸き肉躍った。


「なんだ、このガキは! 死にてぇなら容赦しねーぜ!」


 ガリオンが吠えた。


「砕けろ――」


 丸太のような両腕を振り下ろす。

 私はそれを正面から受けることはせず、受け流した。


「ぬっ……!?」


 攻撃をずらされ、バランスを崩したガリオンはそのまま転倒する。

 そこに私は渾身の蹴りを打ちこんだ。


「がっ!?」


 数百メートルも吹き飛ぶガリオン。


「――ほう」


 静観していたラシェルが私を見つめた。


「貴様、ただの人間ではないのか?」

「ただの人間さ」


 私は微笑んだ。


「ただし――私は強いぞ。君たちも心してかかるといい」

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