第166話 予想外のお土産にビックリ仰天!?
「それはそうと、ちょっとしたお土産があるんだが?」
そうギルド長のケインに話かける。
「これ以上のお土産だと! それはどういうものなんだ? まさかっ!? 君たち、まさか、あの池で何か見つけたのか?」
「実はそうなんだ。是非とも見せたいというか、俺たちには必要のないものだからな
「それは素晴らしい。是非とも見たいものだ」
「それにおそらく研究資料にもなるだろうからな。この機会にギルドに売却しようと思っている」
「それはこちらとしては願ったり叶ったりだ。とはいえ、まずは現物を見ないことには何とも言えんがな」
「そりゃそうだな。……とはいえ、ここは場所が良くないな。どこか汚れてもいい場所はあるか? できれば人目の付かない場所がいいんだが」
「なら、ギルドの特別実験準備室がいいだろう。本来ならば部外者を入れることはできないのだが、君たちは英雄だし、今回は事情が事情だ」
「それはありがたい。そうしてくれると助かる」
◇
さて、我々は先ほどから特別実験準備室の前に立っている。いや、待たされている、と言った方が正確かもしれない。軽く20分は待っている。どれだけ見せたくないものがあるのか。
だが、一通り『隠蔽』が終わったようで、ついに部屋に入ることを許された。
「何だか不気味な部屋ね」
ノエルが小声で耳打ちする。
ごもっとも。あちこちに黒い布が被せられ、詳しい様子やここが何をする部屋なのかはよく分からない。
だが、目の前には魔物を解体できる設備があり、水回りがきちっとしている。
となると、ここはそういう部屋なのだろう。
我々が持ち込んだブツを見せるには最適の場所だろう。
まぁ、彼らは石油についてよく知らないと見える。こびりついた石油を完璧に取り除けるとは思えないのだが……。だからといって他に代案は見当たらない。これ以上、貴重な時間を浪費するのはもったいない。
仕方ないな。ここで出すか。
「それじゃ、ノエル。例の物を出してくれ」
「分かったわ。きっと驚くわよ!」
そう自身気に取り出したのは、例のサイのような魔物の頭部だ。骨だけという感じではなく、ミイラ化しているように見える。
俺の鑑定スキルによると、これは『ポセイドン・ライノ』という絶滅したAランクの魔物らしい。
その通りなら掘り出し物に違いない。
「な、何だ。一体なんだこの素材は!?」
どうやら予想通りだったらしい。ケインは目を白黒させて完全に思考が止まってしまったようだ。見るからにひどく動揺している。
しばらく口をパクパクさせていたが、ようやく再び言葉を発した。
「……いや、失礼。これは驚いたな。こ、これは、その、例の池から引き揚げたのか?」
黒い石油まみれになった『ソレ』を見つめながら、ケインが疑問を口にする。
「そうなの。沼の中にあったのを見つけてみんなで引き揚げたの」
「いや、しかし……。よく沼の底にあったのに気が付いたものだ」
う~む、なるほど。
これは、これは。
思いの外、どうしてなかなか良い勘所をしている。
確かに普通なら沼の中にある魔物の素材など気づきようがない。例え今回のような大柄な骨であったとしても。
しかし、これについても口裏を既に合わせてある。
「実は消火した後に長い枝を入れて沼の中をかき回してみたの。そうしたら変なものに当たったから、もう一本用意して何とか引き揚げたわ。もう、大変だったんだから!」
これは真っ赤な大ウソだが、ここでは正解の答えだろう。
「それにしたって、私がこれまで見たことも聞いたことも無い魔物だ。これは凄まじい発見だ。本当にこれを買い取っていいんだな?」
「あぁ。もちろんだ。むろん金額があまりにも低ければ考えてしまうが」
「う~む。それでは君たちの希望する金額を教えてくれ」
さてと。
一体どれ位の金額を呈示すればいいのやら。
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