無表情な後輩ちゃんを笑わせたい!

さーお

第1話

高校2年になったばかり天水周峯周峯(あまみずあまね)は数か月前からこの珈琲店、『smil』で働いている。ここの店長は、いつも何を考えているのかがわからないが、いろいろな分野で成功しており、皆から天才と称されていた。

そんな店長が、この店をやめた。え?どういう事?となるだろうが、あの店長ならやりかねない。だが、この店がなくなるわけではなく、元店長の執事がめんどくさいことはすべてやってくれるらしいので今までとはあまり変わらないのだが、この店で働くのは周峯以外いなくなってしまった。

このままだと、店が回らなくなってしまう。最低でももう一人は欲しいところだ。そして諦めようかとした時、一人の少女が来た。

きれいな銀髪のショートヘアーががふわりと浮かぶ。普段から、手入れをしている証拠だろう。それに肌は雪のように白い。年は下だと思うが、不覚にも目を奪われた。

(今までは年下には何とも思わなかったんだけどな…ついにそういう年になってしまったのか?いや、気のせいか。)

※個人差があります


「バイトしたいのですが、いいですか?」

「え?」

その少女は「それでは」とだけ言い残しカウンターに入っていった。

「ちょい待て。今何しようとしてる…?」

「それは見ての通り、仕事を」

「まずは、先にしなければいけないことがあるだろう?」

そりゃあ面接だ。というか忘れる人なんているのか?ってか、客だと思ったわ。

「あーあ!」

「やっと気づいたか…」

「手洗いうがいですね」

「いや、大事だけども!?」

「すみません面接ですよね。ほんのジョークです。ジョーク」

「へ、へえ…」

冗談だったのかい!わかりにくいな!?表情何も変わってないし。


「それでは、面接を始めます」

「お願いします」

その少女はぺコリと頭を下げる。さっきとは違い真剣な雰囲気だ。とは言い切れないがそんな気がする。

「それじゃあ、まず前と今通っている学校があったら教えてください。」

いや、今思ったけど面接って緊張するな!?初めて面接官側に立ったわ!

「天羽雪乃です。これ履歴書です」

(あ、そっかー。履歴書あったんだ…)

「雪乃さんね。学校は惺玲学園…ん?せいれい…」

「俺と同じ学校やないかーい」

(いや、そうはならんやろ!)

「こほん。失礼しました。それではなぜここに入ろうと?」

「目的はないです。ただお金を稼ぎたいだけなので。ですが全力で頑張ります。」

「分かった。それじゃあ後で合格通知が来ると思うから」

「えっ?」

「それでは面接を終わります」

「あっ、ありがとうございました」

「面接疲れたでしょ。ちょっとテーブルで待ってて」

「はい」とだけいい残し、雪乃はテーブルに向かっていった。

そして、雪乃が見えなくなった後に、周峯は肩を下した。

「はあ…面接も初めてなのに、その上、来たのが美少女とか。ゴリ押しで面接終わらせたけど」

改めて考えるとこの面接ただのゴミだな…と羞恥が襲ってくる。

はあ…と何度もため息をつくがこのままだと埒が明かないので、カフェラテを持っていくことにする。

「お待たせ。これカフェラテ。甘いのが嫌ならブラック淹れてくる」

「いえ。ありがとうございます」

「マズかったら言ってくれ。俺が淹れたコーヒーは店長にはかなわないから…あ。店長いなくなったんだった」

「いえ。とても美味しいです」

(さっきから同じ反応してないか?ってか、ガチで表情変わらねえな)

「お客さんがいない時間帯にきてくれて助かったよ。それじゃあ、来週からよろしくね」

「あの。1つ気になるんですけど、何でそんなに優しくするんですか?何も出ませんよ」

「いや?全部自分のためだ。人にいことをすれば自分に返ってくるていうだろ」

「そうですか。わざわざありがとうございます。お代はどれくらいでしょうか」

「いらないよ。その代わり仕事で払ってくれ」

ニッと笑顔でそういうが雪乃はやはり表情を変えない。

「わかりました。それでは」

もういくのか…と思い雪乃のコーヒーが入っていたカップを覗くともう空になっていた。

「ってか、台風のように去っていったな…」

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