脳死で書く日記は健康によい

 かぎろです。去年の夏ごろまでは常に自分の作品が大好きだったんだけど秋ごろから「いいや、そうでもなくなってきたな……」という気分になることがけっこう増えてきました。なんなんだろう。べつに嫌いってわけじゃなくて、興味が薄れるという感覚に近い。たまに自作への愛が高まって、たまに落ち込んで、って感じさ。いまは若干低めでね。そのことが寂しくもあるんだ。

 そこまで言って私は、すこし話しすぎたかもしれないね、と苦笑し、ジントニックに口をつける。香りがひろがり、心地の良さに瞼がほんのり重くなる。

 オーセンティックバー、GINZA PRIDE。

 やわらかなイエローホワイトの間接照明がカウンターを穏やかに彩る。私の他に客はいない。夜も遅く、閉店は間近だった。

 バーテンダーは私の話を黙って聞いてくれている。心底、落ち着く空間。すべてを暴かれても許せる気がする。私はまた自分のことを語り出した。


 どんぐりころころ[KAGIRO's killertune Remix]という短編小説をカクヨムに投稿したことがあってね。だいぶ前に書いた作品ではあるのだけれど、今日、ひさびさに★を3ついただいたんだ。うれしかったよ。でも、自作への愛が最高潮だった時の方が、きっともっとうれしかったのだろうな。そう思うと、いまの読者に申し訳なくなってくる。読者の応援を余すところなく受け止めたいのにな。もちろん、気軽な気持ちで★を入れたにすぎず、べつに応援しようという気はないという方もいらっしゃるだろう。そうだとしても……どんな動機で入れられた★だとしても、私は、うれしがりたい。思いだすよ。小説家になろうに初めて投稿した中編。5万字書いてようやく読者数を示すブックマークが0から1になった時、私は感激のあまり椅子から立って拳を突き上げた。あの頃の感覚を取り戻したいわけではないけれど、記憶は忘れないでいようと思う。……自分の小説を誰より自分が愛したいよ。読者を愛していたいから。


 すまないね、マスター。くだらない話に付き合わせてしまった。

 それじゃ、そろそろいつもの、頼むよ。


「あれですね・・・わかりましたー・・・えいっ♡えいっ♡」


 寝そべったかぎろの背中をおわりちゃんの足が踏み踏みする!


「あ、ありがとうござ、ご、ゴハァッ♡ ぎ、ぎもぢいッ♡ ひ、ひぎっ」

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