短冊

そんなの書いて叶うものか、と湊音は昔思っていたがある時を境に毎年書くようになった。

「ロマンチストね」

と後ろから李仁に冷やかされても湊音は、かすれかけたペンを握って短冊に願いを込める。

「李仁と今夏花火大会に浴衣で行きたい」

そう書き吊るす。

「具体的でよろしい」

湊音も直接言えばいいのに

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