第4話 異世界人

 ……知らない天井だ。俺の目には今茶色の天井が見えている。ほんとに知らない天井が見えてる状態だ。体を起こして確認すると、どうやら俺はベットで横になってたらしい。体に毛布も被ってある。


 部屋の中を見回してみるが、ベットとドアしかない。


 自分の気絶する前の記憶はちゃんと覚えている。音が頭に響いたのは絶対あの獣人聴覚機能のせいだな。多分、あれは動物の聴覚と同じぐらいに聞こえるようにするってゆう機能なんだと思う。確かに犬とかって人の何倍も耳いいって言うからな、人間の聴覚からいきなりチェンジしたら慣れてないし気絶もしてしまうなあ。あれはまじもんの罠だった。


 この状況はNPCの人かプレイヤーの人が気絶した俺を見てどこかに運んでくれた、と考えるべきかな。


 そんなことを考えていると部屋のドアがギィーッと音を立て、開く。


「あら?起きましたか」


 部屋のドアを開けて入ってきたのは女性だった。長髪の髪が綺麗な優しそうな感じを醸し出しているネコの獣人女性だ。


「あの……すいません。あなたは?」


「ああ、私は冒険者ギルドの受付係、メアリです」


 冒険者ギルドの受付係かあ、メアリさんはNPCなのかな?


「あの…、ここってつまり冒険者ギルドの中なんですか?」


「あ、はいそうです。ここは冒険者ギルドの休憩室の一室ですよ。あ、ちょっと待っててくださいね」


 と、言うとメアリさんは部屋から出て行ってしまった。


 どうしたんだろうか?


 ちょっと天井を見て待っていると、メアリさんが椅子と紙、それと羽ペンを持って部屋に入ってきた。


 メアリさんは僕の座っているベットの横に椅子を置いてスッと座る。


「今から少し、確認と質問をさせて下さい」


「確認…ですか?」


「はい。あなたは突然気絶してここに運び込まれたんですよ。あいにく診療所はその時満員だったので空いているここに運ばれてきました。それでちょっと気絶した原因などなどを確認させてもらいたいなと。大変だったですからね?運び込まれた時口から泡吹いてたんですから」


 とメアリさんは片目をウインクした。


 そうだったのか……俺、泡吹いて気絶かあ、かっこ悪い。


「なんかすいません…」


「これからは気をつけてくださいね?さて、確認させてもらいますね。まずお名前は?」


「カジです。」


「カジさんですね。はい、次は職業は?」


「えーと……冒険者?いや、まだ職業はないですね……」


 うん、今ゲームに入ったばっかだから職なしなんだ。高校生って言った方が良かったかな?でも、ここでは通じるかわからない。


「…もしかして、カジさんは異世界人様ですか?」


「はい?どういうことですか?」


「実は…昔から5つの民族の町では異世界人がたびたび来るという文献があるんですよ。異世界人は5つの民族の大きな問題が起こるたびに来ると言われていて、いつのまにか去ってしまうとも言われています。見た目は私たち同様、人型であると記されてるんです」


「ああ、そうなんですか。なら、その文献から見ると私は異世界人ってことになりますね」


 俺たちプレイヤーはそういう設定なのか。かなり設定凝ってるんだな。


「やはり、カジさんは異世界人様なんですね。では……コホン。ようこそ異世界人様、新大陸獣人領冒険者ギルド本部へ!」

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