温泉旅行に忍び寄る影
「ついた!」
期末テストという山場を乗り切って、冬休みを迎えた数日後。俺と花蓮は温泉旅行にやってきた。有名な観光地だけあって人がたくさんいて賑わっているし、どこのお店も魅力的だ。
「ワクワクしていますね先輩」
「そりゃそうだろ! こうして花蓮と一緒に旅行に来れたことがすごく嬉しいからさ」
「そう言ってもらえると私も嬉しいですよ。では、これからどうしましょうか。温泉に入るのもまだ早い気がしますし……とりあえず、辺りをぐるっと回ってみますか?」
「そうするか。いろんなお店があるし、色々回ってみよう」
そんなわけで俺らは温泉に行く前に観光地を回ることにした。
「うわ……全然当たんねぇ」
「先輩、貸してみてください」
「うわ、花蓮うま!」
射的をすれば俺は全然当たらないのに花蓮は簡単にマトに当てまくる。どうしてこんなに射的がうまいのか気になったけど、花蓮に聞いたら「内緒です」と言われてしまった。なんかそう言われると余計気になるけど、しつこく聞いて嫌われるのは嫌だからやめとこう。
「あ、この温泉まんじゅう美味しいな」
「ほんとですね。箱も買って部室で食べましょうか」
ふといい香りにつられて買ってみた温泉まんじゅうを、花蓮と一緒に食べたり。モグモグと美味しそうに食べている花蓮の姿がめちゃくちゃ可愛いくて、ついつい花蓮のことを見つめてしまったことは内緒だ。
「せっかくですし写真でも撮りましょうか。先輩、ここに来てください」
「ん、わかった」
「では撮りますよーはい」
そして景観の良いところで花蓮と一緒に写真を撮った。少し慣れてなさそうに花蓮はスマホをかざして写真を撮るも、最初はちょっとブレてしまう。もう一回と言って次に撮ると、今度はいい感じに写真が撮れた。
「いい写真が撮れました。私、これを家宝にしますね」
「お、大げさだよ花蓮」
「そんなことないですよ先輩。こうして先輩と一緒にいられて、楽しい日々を過ごせているこの証が、私はとっても嬉しいんです」
「……ありがと」
「こちらこそ。では、そろそろ宿に行きましょうか。温泉にも入りたいですし」
「そうだな、そうしよう」
そんなわけで俺らは一通り回った後に宿に戻った。ほんと、いい感じの宿だからここでならゆっくりできそうだ。
「あれー偶然!」
「……は?」
と思っていたのに。どうやらそう簡単に俺らはゆっくりすることはできないようだ。
「明彦に福原さんじゃーん。同じ宿なんてすごい偶然だね!」
どういうわけか入院していたはずの真衣が宿に来ていた。口ぶりからするに、真衣もこの宿に泊まるらしい。ふざけんな、今すぐ帰れと言いたいところだが、人が行き来しているので暴言を吐くことも許されない。
「……うわ、きも……」
「おい花蓮声が漏れてる」
「随分と酷いこと言うんだね福原さん! でも、そんなこと気にしないであげる! ほら明彦、私の部屋案内してあげる!」
「……いや、自分の部屋に荷物置きたいから。じゃあな」
「え、ちょ、ま、まってよ!」
できる限り関わりたくなかったので、俺たちはそそくさとその場から逃げ出した。でも、そう簡単に真衣が諦めるわけもなく……この旅行は、少し面倒なことになりそうだった。
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「陵辱系エロゲーの竿役に転生した俺、なぜかヒロインから襲われる。どうやらここは貞操逆転世界らしいので、女どもをわからせてやろう」
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