パジャマ派とパンイチ派。
今回の依頼で僕とネマは交代で休む時のスケジュールを予め相談してあった。
最初にネマが六時間寝て、次に僕が仮眠を四時間取る。流石に八歳を四時間睡眠で扱き使うのはちょっと無茶なので、仕方なくこうなった。
これはネマを甘やかすとかそう言うのじゃなく、もっと根本的で、もう生物的な話しだ。
だって八歳なんて『流石にもう、お昼寝は要らないかな?』って微妙な時期を過ぎてちょっとしか経ってない年齢だ。
それを四時間睡眠の二交替とかで使って、起きてる時に操縦ミスられたら僕が困る。
なので、睡眠の質と効果を高める薬を服用しつつ、僕とネマはそんな時間割になってる。まぁ僕は大丈夫。短時間睡眠で生き延びるとか日常茶飯事だったし。
凄いんだぞ夜の砂漠は。都市から締め出されて丸一日帰れなかった時なんて、外でガチ寝したらそのまま目覚めないかと思ったし。起きる度に体の芯から凍えてて、その度に体を擦りまくって温めた。
ああ懐かしいと思いながら
ロコロックルさんやダムも警戒を手伝うとは言ってたけど、それがこっちの仕事で、その仕事に一日二○万も出るのだから気にしないで欲しいと言ってある。
なのでサッサと寝てパパッ起きねば。任せろと言って何かあったら最悪だ。
そして翌日。起きた。
まだ日が浅い。空が瑠璃色だ。綺麗だぬぅ。
森と平原がチラホラと点在する、人の生存を拒む領域で見る夜明けは最高だな。
「おはようシリアス」
『おはようラディア。今晩は襲撃ゼロ。平和な夜だった』
「この道さ、海洋都市まで四日で行ける最短ルートじゃん? つまりガーランドからの最短オスシロードじゃん? 今度、此処の賊を根絶やしにしようよ」
うん。ロコロックルさんは今更「む、無茶な旅程を組んでしまって申し訳ない……」とか言ってたけど、良く考えるとこのルートは僕も使うかも知れないのだ。オスシ食べたくなったら四日使って海洋都市へ! 見たいな。
「さて。四日目で御座います。今日の昼過ぎ、もしくは夕方には着く予定なんだけど、まぁ襲撃の頻度次第だね」
流石に襲われながら完全に速度維持とか無理である。襲われる度に旅程に誤差が出る。
欠伸をしてベッドから這い出でると、そのタイミングでネマがドアを開いて入って来た。今更だけどシャムの居住区画は
シュィンって音がして扉が開き、ネマが心做しかウッキウキしながら入って来て、僕を見て固まり、そして落胆。
「……………………なぜ、おきてる?」
「〝ですか〟を付けろよデコスケ野郎。ネマは朝から飛ばしてるなぁ。突っ込みが追い付かないよ」
ピッタリ時間に起きて何故怒られるのか。そしてなんで落胆してるのか。寝てる僕に何する気だったのか。色々と聞きたい所である。
「…………ざん、ねん」
「いやホントに何する気だったの君。もしかして昨日までは何かされてた?」
「ない、しょ」
「シリアス?」
『内緒である。乙女同士の約束』
し、シリアスが、僕よりネマの味方をした、だとッ…………!?
無限に嫉妬の炎が燃えてくる。そうかつまり戦争だね?
「受けて立つよネマ。どっちがシリアスに相応しいか…………」
「そう、いうのじゃ、ない」
『誰がどうであれ、シリアスのメインシートはラディア専用。安心すると良い』
安心した。僕の安心はとても安い。民間レーションより安いのだ。シリアスの流し目一発でほわほわと幸せになって安心してしまう。
「まぁ良いや。シャワー浴びて着替える。その後朝食を食べて、ラストランに出発」
「あぃ」
「サーベイルに着いたら少し休もうね。流石にロコロックルさんも即日に全部売り払って『さぁ帰るぞ!』とは成らんでしょ」
部屋から傭兵服を持ってシャワーに行く。ちなみに寝る時の僕はパジャマとか着ない。インナーシャツにボクサーパンツだ。
ネマはパジャマ派だけど。最初の報酬で最初に買ったのがパジャマってくらいパジャマ派だ。顔の通りに寝るのが好きっぽい。
アイツ、名が体を表しまくってるけど、心も表してたのか。
その時買ったパジャマは、なんか、こう、パステルイエローにポニョポニョした不思議生物が等間隔にプリントされてる総柄だった。
不思議生物が不思議過ぎて最初は「これは、ペイズリー柄? それともレオパード柄?」と混乱したくらいだ。
「さて、今日も元気に移動しますか」
「ラストスパート、よろしくね」
「…………ねまも、がんばぅ」
「自分も、此処での生活は今日で最後っすか」
「そだね。でもダムが殺して来た人の中には、こんな生活を一日も経験した事が無い人だって居たはずだよ。しっかり悔いて、しっかり償っておいでね」
「……うっす」
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