煽って釣る。
そんな感じで三○分くらい会議を聞いていたけど、まぁ、なんと言うか、僕が聞いてても「正気?」とか「本気?」とか「もしかして遊んでる?」って感じの会議だった。これが『踊る会議』って奴か。
「………………はぁ、もう良い。……
三○分も不毛な会議を聞かされたライキティさんが限界を迎えて、柏手を打って会議を止める。
それから全員の視線を集めた上で、僕に聞く。
「何点だった?」
「えーと、本音で良いです?」
「頼む」
「一○○満点で、五点あげたら優しいかなって悩む感じですね」
全員、ポカーンってしてる。
いや、だって、無理無理の無理だよ。無理過ぎる。
会議聞いてたけどさ、なに? 砂漠に落とし穴? クソデカトリモチを特注? ダングのバック走行で突っ込んでガレージ内に無理矢理捕獲?
ねぇ、砂漠舐めてんの?
サラッサラの砂地で落とし穴って何さ。掘った先から崩れる砂漠なんだが? 何か特殊な装置でも使うの?
その意味不明で成功するかも分からない作戦を実現させる為の装置を準備するのに、いくら使うの? それはどんな装置で、何処で買えるの?
バイオマシンのパワーを封じるトリモチって何? そんなの有ったら鹵獲なんて誰も困ってないでしょうよ。
それ特注するのにいくら掛かるの? そしてどうやって使うの? 投げ付けるの? 武装で撃つの? なら発射体にする加工はいくら掛かるの? 費用対効果釣り合ってる?
ダングの後退突撃で捕獲ってハッキリ馬鹿なの? それ捕獲した後どうするの? 中で暴れるデザリアを誰が止めるの? 生身で整備士が命懸けの特攻でもするの?
て言うかダングが内側から殺されないって保証は有るの? 野生のバイオマシンはウェポンシステムが使えないだけで、シザーアームでダングの内側をゴリゴリ削って
旅団の所有ダングをぶっ壊す補填は誰がするの?
まぁ、そんな感じで総評、お粗末。
本気でこの人達、傭兵なの? マジ? フィクションブック見て傭兵になったばかりの一般人だったりしない? お金の勘定って出来ますか? 都市のスクールではシギルの数え方って教わらないの?
「…………はぁ。コイツらに何か、言う事は? 好きに言っていいぞ」
「えっと、そうですね。………………論外?」
言いたい事があり過ぎて、逆に何も言えないパターンだった。それを素直に言うとライキティさんが吹き出した。
明らかに、僕から馬鹿にされてる事だけは分かったらしい新人さん達が不機嫌になる。僕に文句を言わないのは、恐ろしい団長と喋ってるからだ。
「……もう、止めるか? 私も此処までとは思って無かった。セルクは何をしてるんだ」
「いや、あの、セルクさんは多分悪くないと思いますよ……? と言うか、そもそも、予算ってどのくらい残ってるんですか?」
「たしか、一二○万くらいか?」
「えっ!? そんなに残ってるのに鹵獲出来ないんですか? なんでっ!? 実は新人の皆さんって遊んでますっ!?」
「んだとテメェエッッ!?」
ついに我慢出来なくなった一人がいきり立ち、僕を睨みながら怒鳴る。
ほかのメンバーも表情は似たり寄ったりで、僕を可愛い可愛いって言ってた女性達も、今では明確に敵を見る目を向けている。
少しヘイト稼ぎ過ぎたかなと心配に成るけど、「気に入らない」程度ならまだ行けると判断。スラム孤児は顔色を読む力がカンストしてないと死ぬ生物なのだ。
「ねぇねぇ、ボクちゃんも鹵獲出来ないって言ってた癖に、言い過ぎじゃないの〜?」
「そうだよね。自分だって大した事出来ないくせに……」
「団長もなんであんなガキ……」
チラッと団長を見ると、何も無し。ネタバレも無いので、此処が稼ぎ時だと判断する。
「え、誰が鹵獲出来ないなんて言ったんですか? もしかして、お姉さんって言葉が不自由です?」
空気が凍る。
僕から直接煽られたお姉さんは勿論、僕のコレを明らかな『攻撃』だと認識した新人さん達の目から、攻撃色が垣間見える。
「テメェがさっき言ったんだろうがよっ!」
「君こそ言葉が不自由なのかなっ」
「鹵獲する手段持ってねぇって、自分で言った癖によ」
新人さん、……いやもう、「さん」付け要らないかな。新人共からの一斉射を、僕は笑って受け止める。
もう、もう、スラム仕込みの会話術を披露する気だったに、相手の対応が酷過ぎて仕込みもクソも無かったよ。まぁ僕の言葉をマトモに聞いてくれる人なんて殆ど居なかったから、実践なんてした事無いけどね。
もっぱら騙される方だったし。僕も詐欺とかはしないし。
「そうですね。僕は鹵獲の手段を持ってないと言いましたね。誰も鹵獲の方法を知らないとは言ってませんけど。そう、確かに、僕は、デザリアを鹵獲する為の手段は、持ってませんよ?」
にちゃぁ……。
敵意に対して、僕はイヤらしい笑いを返してあげる。さぁ団長であるライキティさん公認で稼ぐぞぉ☆
「は、はぁぁっ!? いや、だったら何か言えよ! 意見が有ったら言えっつっただろ!」
「は? 言いましたよね? 論外だって」
「それ意見じゃねぇだろ!」
「いやいや、立派な意見では? 論ずるに値しない作戦を立ててますねって、立派な意見じゃ無いですか? 一二○万シギルものお金、ドブに捨てるおつもりですかって、それが僕の意見でしたけど?」
売り言葉に買い言葉。空気に砂漠の風を入れる。
熱して、燃やして、その一言を貰う為に。
「僕に残り一二○万シギルの予算を頂けるなら、余裕でデザリアの一機や二機、いや三機だって四機だって、鹵獲して来ますけどねぇ?」
「ホラ吹いてんじゃねぇぞクソガキ!」
「流石にこの予算で四機とか吹き過ぎ……」
「いやいやいや、余裕でしょ? むしろ皆さん、まさか本当に出来ないので?」
煽って煽って、たった一言が欲しいのだ。
そして--…………。
「だったらテメェやって見ろやぁぁあッッ!」
はい、ご依頼有難うございます。
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