道連れにさせろ。
「…………ぷふっ、クククっ」
「……もう、なんとでも言えば良い」
僕はふりふり可愛いワンピースを着たままシリアスに乗って、同じ西区のスラムにあるタクトを尋ねた。
そこは僕が寝泊まりしていた住処からも近い、バラック風の簡易テントが集まる場所で、スラムの中にあるちっちゃな町みたいになってる。タクトグループの拠点だ。
場所はパルスシールドから近く、ガーランドの外周も外周。
ここはスラムの結構奥なので、本当はバイオマシンで直接来れる場所では無いんだけど、一回メインストリートまで出てからゲート直前で逸れてパルスシールド沿いに進むと、機乗したまま裏技的に来る事が出来た。町を覆うパルスシールドは人が触れると危ないので、パルスシールドの近くはガッツリとスペースがあるのだ。
そこを通れば小型のバイオマシンなら歩けてしまう。
そこでタクトと合流。そして何とか僕がこの格好をしている事実の発覚を遅らせようと粘ってけど、シリアスが容赦無くしゃがんでキャノピーを開けてしまったので、どうにもならなかった。
何かと理由を付けて機体から降りず、外部スピーカーを通して降機を渋る僕に対して訝しんだタクトはコックピットまでやって来る。そして、僕が乗ってると思ってコックピットに来たのに、中を覗けばそこに可憐な
その後、何処からどう見ても美少女になっちゃった僕が僕なのだと理解したタクトは、やっぱり爆笑して機体から転げ落ちた。
外周部は砂まみれで、地面も砂漠の砂である。そのお陰で落ちても怪我はしなかったけど、笑いのツボが爆撃されたタクトは暫く砂地を転がって笑い続けてた。ちくしょう許さんからな。
「……ふふはっ、似合ってるのクソ笑う」
「…………そんなに似合ってる?」
「ぉ、おうっ。その、超、可愛いぞっ? んふっ……!」
「笑い過ぎだよ」
「だって、だってさ……! さっき別れたばっかなのに、なんでこの短時間でそんな超変身してんだよ……! しかも超可愛いしっ、くふっ、ダメだまた笑いが込み上げてきたっ」
いや、さぁ。僕も鏡見たら自分でも超可愛いと思ったけどさぁ。でもそこまで?
と言うか、周りで見てるグループの皆も、その、止めて? お願いだから止めて?
可愛いって呟きながら赤い顔で僕を見てる男の子達ホント止めて。
素敵って言いながらキラキラした目を向けてくる女の子はまだ良いけど、ぐぬぬぬって顔してる女の子マジで止めて。
僕はタクト争奪戦に参加とかしないから。そんな「強敵が現れた……!」みたいな反応マジで止めて。それが一番傷付くから。
「………………そんなに笑ってると、シリアスにお願いしてタクトも女装させて貰うよ? グループの女の子に衣装渡したら絶対タクトも着る羽目にな--」
「--マジさーせんしたッ!? もう笑いませんっ!」
タクトは見た目カッコイイけど、結局顔は綺麗に整ってるんだから、女装出来るでしょ。おじさんは『古代文明の技術でも不可能』とか言われたけど、タクトなら余裕でしょ。
シリアスのコーディネート力が火を噴くよ? 僕をここまで仕上げたシリアスの女装させ力、受けてみる? 凄いよ? 化粧無しで完全に別人だからね? お股スースーするからね?
「これ、さ。下着まで、専用の奴なんだよ。男のシンボルを極限まで隠して可愛い女性用の下着を装う、無駄にハイテクな女装用下着なんだよ。…………これ履かせるよ?」
「マジすまんかった。二度と笑わないから勘弁してくれ…………。ほらもう、お前が変な事言うからプリカが目をキラッキラさせてるじゃねぇか!」
「僕も似た様な展開で女装する羽目になったんだよ。カルボルトさんが余計な事言うから、シリアスがノリノリになっちゃって…………」
だからさ、タクトも女装しろよ。仲間になれ。道連れにさせろ。
ちなみにプリカって言うのはタクトグループの女の子の名前で、タクト争奪戦参加者だけど、ぐぬぬぬせずに僕をキラキラした目で見てる子だ。タクトの女装服は彼女に渡すべきだろう。
「もう、良いから、さっさと行こうぜ! て言うか、今更だけど移動ってどうすんだ? シリアスに全員は乗れないだろ?」
「…………ビークルをレンタルすれば良いんじゃない? 自動運転で最奥区まで行けば」
「……………………ラディアちゃん、お金貸して?」
「ちゃん付けしたからトイチね」
「あぁぁぁッ! 謝るから! ごめんて!」
トイチ。十日で一割の利子である。しかも単利じゃ無くて複利ね。
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