仲良しだね。



「くそぅっ、俺らは成り上がれねぇって思われてたんだなっ」

 

「つーか、お前らはラディアが成り上がったら自動的に助かると思ってたしよ。実際そうなってんだろ? どうせ、ラディアがそのうちお前に乗機を用意するとか言ってんだろ?」

 

「大正解だよ馬鹿野郎! くそっ!」

 

「ほれ。ラディア助けとけばお前らも助かるじゃねぇか。そんでお前が稼げる様になったら、お前んとこのガキ共もそのうち乗機持ちだろ? ほーら、ラディアを助けるだけでウチのお得意さんが何人も増えるな? なんつー費用対効果だ。俺は自分の商才が恐ろしいぜ……」

 

「くそっ、別に此処ここを使わなくても良いんだぞ!」

 

「お? 俺は別に構わねぇぜ? 乗機持ちの孤児なんて美味しい獲物っつぅ自覚がねぇなら、スラムで他の整備屋でも行って、盛大にボッタくられると良いんじゃねぇか? ん?」


 止めなよタクト。おじさんが僕らをイジめる気が無い時点で、どうやっても整備屋サンジェルマンを利用するのが一番になっちゃうんだし、言い合いで勝てる訳ないじゃん。


「ふふ、タクトとおじさんは仲良しだね」

 

何処どこがっ!?」

 

「節穴か?」

 

「酷い」


 気持ちが落ち着いたので、涙を引っ込める。それから思い出して、僕は腰のホルスターを外しておじさんに返す。


「おじさん、貸してくれてありがとう。使いやすかったよ」


「使ったのかよ」

 

「うん。何時いつもイジめて来た兵士さん、撃っちゃった」

 

「良くやった。殺したか?」

 

「うんっ!」

 

「へ、そうか。じゃぁコイツも、キラーの仲間入りってこったな」


 おじさんはレトロ好きで、それと拳銃コレクターでもある。

 

 キラーって言うのは、現代の法律に於いて『民間人が手に入れられるグレードの内の、人を殺した記録のある銃』を表すコレクター用語で、それだけで価値が上がるらしい。

 

 現代だと一般人が一般人を撃つ機会なんて、ほぼ無いし。

 

 軍や貴族なんて立場の人達ならまだしも、民間用の銃で人を殺した経験のある実機は、それだけで希少価値が生まれる。


「ほーれタクト、分かるか? 俺はラディアに銃を貸しただけで、ラディアの安全に寄与しつつ、ラディアに恩を売れて、しかもこうやってコレクションがキラーになって資産価値まで上がる。たった一手をラディアに打つだけで利益しかねぇんだ。こんなガキに目を付けた自分の商才が怖過ぎるぜ…………」

 

「稼いだなら還元しろよな」

 

「するぜ? ラディアにな」

 

「クソが!」


 やっぱり仲良しだ。

 

 て言うかおじさん、撃つの躊躇うなって勧めてたり、オリジンの権利を教えてくれたりしたのって、あわよくばコレクションがキラー化するのを狙ってたのか。

 

 確かに失敗しても損は無くて、成功したらハッキリと得。まさに商才なんだろう。


「特注品がキラーって、高いの?」

 

「おう。お前が俺に払った修理費の二倍くらいはするんじゃねぇか?」

 

「うわっ、護身用規格の拳銃でそれは…………」


 普通の市販品なら二○○シギルくらいだよね、拳銃って。


「あ、そうだ。おじさん、僕も武装許可貰ったから、銃買いたいんだけど、借りた拳銃って何処どこで買えるの? どこに特注すれば良い?」

 

「お? なんだ、気に入ったのか?」

 

「うん。撃ち易かった。持ち易いし、ブローバックもカッコよかった」


 おじさんは上機嫌でメーカーを教えくれた。既製品も売ってるけど、かなり無茶な要望の特注品でも綺麗に仕上げてくれるメーカーらしくて、自分だけの物が欲しいって人に人気のメーカーとして有名なんだそうだ。


「俺の注文した仕様書とプリセットも送ってやるから、それを元に注文すればレプリケート生産ですぐ届くぞ。もうお前も端末持ってんだから、都市部に行かなくてもネットで注文すればドローンが届けてくれるしな」

 

「あ、じゃぁ医療用ナノマシンも注文すれば届くのか。また往復するの大変だしね」

 

「店舗でしか扱ってない品とかも有るから、ネット注文も善し悪しだけどな」


 僕は早速ネット注文をした。もう口座に三○○万シギルも入ってるので、ネット決済も可能だ。

 

 でも端末操作がまだ覚束無いので、操作そのものはハンガーに居るシリアスが手伝ってくれた。


「銃は特注と既製の注文完了。タクトのナノマシンも、一五○○シギルの医療キットのセットを予備含めて注文したから、また怪我人が出たら遠慮無く使ってね」

 

「…………ありがとな。恩に着る」

 

「脱い……、ダメだ、物理的に恩を着てる状態だった……」

 

「はは、脱ごうか? もうスラムだし、別に良いぜ?」


 これが僕たちの持ちネタになりそうだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る