免許制。



 免許!? え、バイオマシンって免許制なのっ!?


「おう。まぁぶっちゃけオリジンには要らないんだけどな。オリジンが勝手に歩けるし。ただこの先、手続きとかで確実に必要になるから、傭兵やるなら取得は必須だ」

 

「なるほど。ビークルだって運転には免許が要るのに、バイオマシンに必要無い訳ないですね。うん、考えたら当たり前だった。……でも、オリジンは最悪、無免許でも良いんですか?」

 

「俺も詳しくは知らないが、オリジンは例外無くマシンコード無しで警戒領域から都市まで来るだろ? だから確か、都市のゲートを潜る時にスキャニングされて都市のデータに登録されるんだよ。それで無免許でも兵士のスキャニングを躱せる様になってたはずだ。本当なら、無免許でマシンロードなんて歩いてたら、兵士が乗ったバイオマシンに速攻で囲まれるぜ? 秒だぜ、秒」


 ま、マジか。そんな事になってたのか。

 

 つまり、赤髪お兄さん…………、ルビ? ルベ、ルベラお兄さん!


 そうルベラお兄さんが、ゲートであの時そう言う対応をしてくれたって事なんだな。

 

 教えてくれたら良かったのにって思うけど、良く考えたら僕あの時ギャン泣きしててそれどころじゃ無かったな。

 

 多分ほっといても、勝手に傭兵登録して必要な手続きは勝手にやると思われて、そのままだったんだろう。

 

 もしかしたら無免許のまま何ヶ月もシリアスに乗ってたら、その時こそ行政から何か言われたんだろう。

 

 殺しの時もお兄さん達がすぐに現れたし、多分シリアスの事はずっと監視トレースされてたんだ。オリジンは取り敢えず無免許でも都市に入って乗れるけど、そのせいで何かトラブったりしない様に。

 

 普通だったらもっとシステマチックにお役所仕事っぽい対応がされるはずだろうけど、完全に自我のあるバイオマシンってだけで対応が難しくなるんだと思う。

 

 仮にゲートで免許関係のアレコレでウダウダと時間をかけてたら、オリジンが嫌がって警戒領域に帰っちゃう、……なんて事になったら国の損害だ。

 

 自国に新しくオリジンが産まれたって事実だけで他国に自慢し腐れるのに、対応がちょっと詰まっただけで帰られたら目も当てられない。古代文明の力を持ったまま現代人に味方してくれるオリジンって存在は、それだけ希少なんだ。

 

 だから取り敢えずスッカスカの対応でも都市に入って貰って、それから徐々にさり気なく手続きを進めてもらう。

 

 たったそれだけの特別待遇でオリジンを迎え入れる確率が上がるなら、そうしない理由が無い。

 

 問題が起きない様に監視しつつ、慎重で繊細に補佐をしてさり気なく正しい形に誘導して行く。

 

 そのお陰で僕は免許が必要って事を知らずに今までシリアスに乗れてたんだ。


「なるほど。色々と知らなかった事と、知ったからこそ腑に落ちた事とかで、なんか頭がスッキリしました」

 

「そりゃ良かった。で、この後は本登録の為に面談の申請やら何やら、色々有るんだが時間は大丈夫か?」

 

「孤児にはお金を稼ぐ為に使う時間より優先されるタスクなんて有りません。僕の場合は例外でシリアスと一緒に居るって最優先タスクが有りますけど」

 

「そいつは重畳。じゃぁ、残りの手続きも教えてやるよ」


 本当にカルボルトさんに出会えて良かった。非常に助かる。助かり過ぎる。

 

 色々と教えて貰いながら、免許取得申請と傭兵登録面談と、乗機武装許可申請…………、あぁ、バイオマシンの武装も許可取らないとダメなのか。

 

 ニードルカノンは大丈夫っぽいけど、射撃武装は確実に許可が要るね。ふむ、なるほど。他にも、武装許可申請……?

 

 ああ、僕自身の武装許可か。護身用の拳銃以上の武器で傭兵自身が武装するにも許可が要るのか。そりゃそうだ、当たり前だよね。

 

 ふむふむ、あと税金と、自由臣民権って言う特殊な市民権とか、ああそうだ、口座の開設もしなきゃだよ。それもこれも、アレやコレや、色々諸々…………。


「……………………作業、多ッッ!」

 

「だから新人の登録には受付嬢の助けが要るんだよ。本来ならな」


 そりゃそうだよ! こんなの、誰かに「ネットで全部出来るぜ」とか言われても無理だったよ。ギルドに来て教えて貰いながら申請しないと訳分からないよ。

 

 なんで受付嬢さん男漁りとかしてるの! 助けてよ! 僕を助けてよ! カルボルトさん居なかったどうにもならなかったよ!


「一応、完全に何も分からん奴のために、あっちの端っこに要るオッサンが座ってる受付で対応して貰えるぞ。あの場所だけはギルドページから申請を介さずに利用出来るから」

 

「それすらも分からないのに、そんなの用意されてても辿り着けないですよ……!」

 

「流石に、見るからにド新人って感じの奴がウロウロしてたら誰かしら出て来て対応してくれるだろ。傭兵ギルドもそこまでは酷くねぇよ」


 と言うか、そこまで何も知らない奴が珍しいらしい。

 

 そりゃそうか。普通、孤児が自分で端末を買ってギルドに来るとか、レアケースだよね。

 

 ギルドに限らず行政の手続きとかも似たような感じらしいので、普通に生きてる市民なら僕ら程は戸惑わないってカルボルトさんに言われた。

 

 それから、全部申請が終わって少し待ってると、端末に反応が返って来た。

 

 またカルボルトさんに手伝って貰ってギルドからのリアクションを確認すると、面談が五分後にギルド三階で、免許取得講習がその後同じ階、実技試験の実施については未定で面談時に何かしらの通知がされるとあった。


「……あん? 実技が未定だと?」

 

「みたいです。普通はすぐに実施される物なんですか?」

 

「おう。対して手間も掛からんからな。面談して、講習受けて、筆記受けて、すぐ実技って流れが普通だぞ。無免許なら徒歩で来るのが普通だから、ギルド最上階のエリアで試験用の機体に乗らされる」

 

「…………僕が、オリジンに乗ってるから、対応が違うんですかね?」

 

「うーん、分からん。そうかも知れんが、別の理由かも知れん。まぁ面談で教えてくれるってんなら、取り敢えず行ってこいよ。タクトは俺が此処で見といてやるから」

 

「お願いします。…………あ、タクトは結局、徒歩傭兵ウォーカー登録どうするの?」

 

「ん? もう登録したぞ?」


 もう登録終わってるの!? タクトさっきから端末操作早くない!? 本当に初めて!?


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