つーん。



「よっと……。じゃぁ、行ってくるね、シリアス」


 タクトも僕が降りた反対側から降機してハンガーに降り立ち、僕は振り返ってシリアスに行ってきますの挨拶をする。

 

 何時いつもなら、これでアームを振ってくれるんだけど、今回はなんの反応も返って来なかった。

 

 返事はテキストかと思ってウェアラブル端末の表示を見ても、シリアスの新しい発言は無かった。


 ………………えっ、僕もしかして、無視された?


「し、シリアス…………?」


 反応が無い。泣きそうに成る。

 

 なんで、なんで無視するの……? 僕、何かした?

 

 涙が零れる前に嗚咽が漏れそうに成ると、近寄って来たタクトに肩をトントンされる。


「あのな、シリアスは妬いてんの」

 

「……………………はぇ?」


 現金な僕の涙腺は簡単に涙を引っ込めた。良く分からないけど、言葉の意味合い的には感情値プラス的な? 嫌われては無いニュアンスだけは理解した。


「……えと、どう、言うこと?」

 

「だから、シリアスは妬いてんの」


 シリアスが、嫉妬? 何に?


「お前がな、長々と知らない機体の、それも多分シリアスの祖国の以外の国のっぽい機体の? 様々な事をずっとずっと褒め散らかしてるお前に、この浮気者って思って怒ってんの」


 ………………あぁ、ミラージュウルフを、凄いって、カッコイイって、褒めてたから?


「…………ミラージュウルフに、嫉妬?」

 

「そう。なぁシリアス?」

 

『……………………つーん』


 かっは…………! 吐血しそうっ。

 

 可愛い。つーんってするシリアスが、暴力的に可愛いっ。

 

 なんっ、なんでそんな、可愛い態度取るのっ……!


「し、シリアスの可愛さに殺される…………!」

 

「うん。まぁ、あれで拗ねるとか可愛いよな。でもコレはお前が悪いと思うぜ? 実際長かったし。シリアスにとっては目の前で、お前が知らない女を長々と延々と褒め倒してた様なもんだろ?」

 

「僕が悪い! 全面的に僕が悪い! 謝ります! ごめんなさい!」


 全面降伏である。シリアスが嫉妬してくれたの死ぬほど嬉しいけど、シリアスに嫌われるのは死ぬ程怖い。つまり致死力が二倍で凄く危ない。


『シリアス、コンシールド武装、無い。初期装備、貧弱。コックピット、汎用。………………つーん』

 

「待ってそのつーんって可愛過ぎて死ぬから許して…………!」

 

「おい、此処でまたグダグダしてると、今度こそ本当に怒られるぞ」

 

「でも、シリアスが…………!」

 

『後で聞く。優先タスクを処理するべき。…………つーん』

 

「かわいい!」


 我慢出来なくてシリアスのシザーアームに抱き着いた。むぎゅ。


「いや行くぞ馬鹿野郎」

 

「あー、行けませんお客様! あーお客様! あー!」

 

『早く行くと良い。……………………つーん』

 

「ふぁぁぁああ可愛いっ!?」

 

「シリアスお前ちょっと面白がってるだろっ!? 止めろ! 出禁に成りかけたんだぞっ!?」

 

「あぁぁぁあシリアスぅぅうっ!」


 タクトによってシリアスから引き剥がされた僕は、泣く泣くタスクを処理する事にした。早く終わらせて早く帰って来て早くイチャイチャするんだ。


「つーか、別に端末経由してんだから離れてても話せるだろうが」

 

「シリアスの発言がテキストに見えても僕の声が届かないじゃん!」

 

「いやテキストで打ち返せよ。返事出来るだろ」

 

「操作方法が分からん!」

 

「それは流石に知らん」


 鬼畜タクトに引き摺られて、傭兵ギルドの二階へ向かう。


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