第117話 朝が来る


ふわりふわりと浮かんでいるのは

夢とか希望とかそんな曖昧で不安定なもので

それなのにどうしたって手にいれたくて

ひとつずつ掴みかけてはまた消えていく


そんなふうに僕はいつでも

軽い絶望に苛まれ続けている

きっと何も手に入ることのない世界で

何かを手に入れようともがきながら


昼と夜の狭間で必死に呼吸を繰り返し

深い夕焼けにほんの少し肩の力を抜いて

それでもまた訪れる夜にため息を飲み込んで

吹き付ける風にぎゅっと身を縮こまらせる


毎日毎日その繰り返し

望みを絶たれても諦めきれず

滑稽なほど何度も何度も手を伸ばす

ああどうしようもなくバカみたいだ


それでもやっぱりバカな僕は

そんな毎日がいとおしく思うのだ

痛くて悔しくてどうしようもないのに

また明日を待ちわびている


長い長い夜をなんとかやり過ごし

そしてまた朝が来る

今日もまた同じことを繰り返す

いつかきっと手に入れられると信じて

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