第19話 雨の日


スローモーションで堕ちていく雨

すり抜ける車の姿も

どこか遠くの出来事みたい

そんなこと思いながら漕ぐ自転車の

少し錆びたブレーキの音


見上げた空はまだ重く

灰色の雲が一面に垂れ込めている

この後ろに太陽が隠れているなんて

まるで手品のようだと思う


すれ違う俯き加減の人

満開に開く傘の花


伸ばした手の先は遠く遠く

進む道のりは長く長く

降り続ける雨は青く青く

胸のなか静かに降り積もって 


ただこの先へ行こう

少しずつ濡れながら

かすかに聴こえる雨音だけを頼りに








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