一日一編集『まさゆめ』

朶骸なくす

正夢

 小さなデジャブを感じては手の隙間から抜け出して勘違いだと言い聞かせる

 先を感じたから何だって言うんだ

 いつもいつも後悔しているクセに

 夢だけは違うと楽しく踊る

 踊れた試しはないクセに

 悪夢ばかりが身体を蝕んで勘違いだと言われてしまう

 脳内の保管はガバガバでしかない

 好きなあの子の夢が見たい。枕の下に写真を置くの

 ミラクルもラブロマンスも夢で見るもんじゃないのに

 否定と非現実だけはいっちょ前なの、馬鹿みたいだから止めた方がいい


 ねえ、どこにも正夢が置いてないの

 ウィンドウショッピングでさえない

 ばっちりコーディネートされたマネキンにもない

 靴屋には靴しかないし、本屋には本しかない


 どこかで幸せを感じては砂漠の一滴でしかないと言い聞かせる

 福を感じたから何だって言うんだ

 いつもいつもハイテンションで消費して

 気だけは大きく破産する

 懐だけはさみしく泣いて

 幸せばかりが夢を見させるの、勘違いだから何も求めない方がいい


 訳もなく涙が溢れて枕を濡らし

 濡れた枕で世をあかして

 感じるデジャブに虚しさを感じながら

 夢を見て『正夢げんじつ』を探してた

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