第26話「対価」

「こんなに良くしていただいては、対価を払えません」

凍えていた小さな毛皮が哀れだったから。洗って毛並みを整えてやると、かえって申し訳なさそうに身を縮こまらせて震えている。

「では冬の間、住み込みで働いてもらいましょう。毛糸玉を転がすのは得意?」

この小さな命を守らせてほしかった。

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