第100話 幸せってなんだ?

 オレの名前は『みたらし』。

 二歳の柴犬だ。


 ホテイアオイの沼で、オレとパパさんは、しばらく立ち止まっていた。

 それくらい、キレイな光景だった。


 不意にパパさんが、沼に面したベンチに座って、話をし始めた。

 昔の話だ。


 パパさんはシャチクだったらしい。

 ……シャチクってなんだ?


 そういえば、オレがこの家にやってきた頃、パパさん、残業残業で毎日帰りが遅かった気がする。

 あの頃は、ママさんがお散歩連れてってくれてたな、そういえば。


 パパさん、疲れちゃったんだって。


 パパさん、じゃあ、今は幸せか?

 オレはパパさんを見上げる。

 パパさんがオレを撫でながら答える。

 今は心が楽だよ、ママには悪いけどな、だって。


 言葉は通じてないんだけど、以心伝心ってやつだ。


 しばらくしてパパさんが言った。

 いつか、『くるみゆべし』クン並みに、再生回数稼げるようになろうなって。


 ワン!


 そうだね。

 いつか……、いつかね……。


 頑張れ、パパさん。

 いつか、TopYouTuberになろうな。

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