第16話 僕の新たな一日
七日間の休養の最終日。
さぁ、何をしたらいいのでしょう。と考えるところから始めなければ、と思っていると。
「ルエン。おい、ルエン!」
なぜかサリュがベッドの傍にいました。
どうしているのだろうと思っていると。
「ルエン、ようやく起きたか。お前、昨日も一日中寝ていたんだぞ。やっぱり一昨日に部屋から連れ出すべきじゃなかったかな……」
サリュの言葉でまた一日寝続けていたのを知りました。
サリュの知るところではないですけど、今回は瞑想していなかったので、かなり久しぶりの睡眠でした。
僕としては、この睡眠時間は納得できます。
「ほら、水飲め」
ぶっきらぼうに突き出されたコップを受け取り、ちびちびと水を飲みます。
そんな僕を眺めながら、サリュは言います。
「今日、お前の初めての授業だが、どうする? 今日はまだ休むか? さすがに、溜まっていた疲れの解消までには程遠いだろう」
「いえ、今日から授業は受けます」
僕は即答しました。
考える必要はありません。
「そ、うか。無理するなよ。とにかく着替えな。午前中は汚れる前提の服を置いているから、それを着てくれ。また、あとで説明するがお前の体力を考慮して、しばらくは持久走や筋力トレーニングを行うつもりだ。ま、着替えて宿舎の前に出な」
サリュは最初こそ心配そうに話していたが、気持ちを切り替えて僕のトレーニング内容を教えてくれました。
諸々の準備が終わり宿舎の玄関に出ると、サリュが騎士服で待っていた。
「よし、今からトレーニングをすると言っても、さっきも言ったとおり持久走からだ。今は午前の六時だから、七時半に宿舎に戻ってくる予定だ。その後、飯、座学、昼寝、筋トレの順に今日の予定を消化する。覚えておくように」
僕は頷きました。
「じゃあ、騎士団の訓練場まで駆け足で行くぞ、ついてこい」
サリュの先導に従って走り始めました。
騎士団の訓練場は王城を挟んで東西にそれぞれあるらしく、西側を訓練生や平民出身の騎士が多く、東側は近衛や貴族出身の高貴な騎士、または騎士団内の地位が高い方が多いらしいです。
もちろん、僕は西側の訓練場に行きます。
宿舎をぐるっと回り、宿舎玄関から西へ。
特に代わり映えもなく走り続けたと言えればよかったのですが、僕の落ち切った体力では宿舎を回っている途中に息が切れてしまいました。
そんな僕の様子を確認したサリュは、言います。
「今日は宿舎の周りを走ったり、歩いたりしようや」
結局、今日はトレーニング内容を変更しました。
十分軽く走れば、五分歩きのペースで一時間ぐるぐると宿舎を回りました。
残りの三十分は、全力の走りと歩きを交互にこなしました。
心肺能力を鍛えるためだそうです。
午前中のトレーニングは終わり、宿舎にて身体を拭き、ご飯をいつもより多く食べました。
ご飯をより多く食べられように、胃を鍛えなければいけないそうです。
諸々が終わりサリュの案内の元、王城の一室に来ました。
書庫の近くにある資料室の隣にある部屋です。
今後はここでいろいろ学ぶのが僕の予定だそうです。
文字を覚えるまではサリュと一対一で文字の書き取りや本の音読を行うようにとのこと。
そんな予定なので、特に変わったこともなく文字の書き取りに注視しました。
この国の文字は遥か東由来の文字だそうで、カタカナと漢字の二種があるそうです。
漢字には意味が込められているそうですが、まずはカナの書き取りを延々とこなしました。
息抜きにはおとぎ話を本で読む程度です。
九時から始まった学習は、四十分勉強し二十分の休憩を繰り返し、十二時頃までこなしました。
そのあと、宿舎に戻り午後一時から二時間の昼寝をしました。
これからは睡眠を取ることに慣れるようにしなければいけないそうです。
午後三時。
ここでサリュから説明が入りました。
「今度こそ訓練場に向かうぞ。行きは走るのと歩くのを繰り返す。といっても十分もせずに着くから、全力と歩きの交互だ。その後は訓練場で指示を出す」
サリュの言葉通り、十分もせずに到着しました。
訓練場は屋根のある建物と屋根のない広い演習場になっています。
訓練場では素振りや筋トレを行い、演習場では模擬戦をしている人などそれぞれのことをしています。
僕たちも訓練場へと向かいました。
向かう途中、サリュからしばらくのメニューを言いわたされます。
「まず、着いたら柔軟など筋肉を温めることから始める。これは怪我防止のためだ。その後、腹筋、腕立て、スクワットなど基本的なトレーニングがメインになる。体幹トレーニングもあり、なかなか辛いが頑張ってくれ」
訓練場に着くと、サリュが言った通りのメニューをこなすことになりました。
十分の柔軟。十秒で一回をこなす腹筋。あごを床につけるほどの腕立て。 膝を伸ばさない状態からの深いスクワット。
どれも体力のない今の僕にはかなりのハードトレーニングでした。
そこはサリュも理解があるので、かなりのゆっくりとしたペースでのトレーニングになりました。
終わるころにはクタクタになり、何とか宿舎に戻り身体を拭き、ご飯を食べ、泥のように眠る。
そんな一日を過ごしました。
与えられたことを何も考えずに淡々とこなす内容に、僕は苦痛を覚えることなく、やりきれました。
それから、基本的な文字を覚えるまでの二週間。
今日と同じ日々をこなしました。
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