第79話 水着、最高でしょ

「おまたせー!」


 おっ、待ってました!


 クラリスがパタパタと駆け寄ってきた。


「ふむふむ、なるほど。これはポイントが高い」


 クラリスが着ているのは、両肩で出ているオフショルダービキニだ。


 可愛らしい花模様で、袖が大きなフリルになっている。


 谷間が軽くみえて、可愛さの上にエロさもある。


 百点満点を上げたい。


「やっぱり水着っていいよな。ジャンもそう思うだろ?」


「……そ、そうだな」


 ジャンがしどろもどろに答える。


 ほほぅ。


 ジャンのやつ、クラリスに夢中になってるな。


 そんな胸ばっかりみんなよ。


 目の動きがバレバレだぞ?


 胸をみるときは、もっとさり気なく見るか、ガン見するかの二択だ。


 なお、さりげなく見た場合は大抵相手にバレているらしい。


 つまりガン見一択だ!


 俺はクラリスの胸を見た。


 すると、


「変態」


 クラリスが胸を腕で隠し、睨んできた。


 俺は変態じゃないぞ。


 自分の欲望に忠実なだけだ。


 そして次に登場したのは、シャーロットだ。


「ほほう。これはまた……」


 シャーロットはモノキニビキニを着ていた。


 モノキニビキニの中でもさらにエロいやつで、胸のところがしっかりと開いている。


 ガッツリ谷間がみえ、否が応でも視線が行ってしまう。


 さっきまでクラリスの水着姿に目を奪われていたジャンも、いまやシャーロットの水着むねをガン見している。


 悲しいかな。


 好きな相手よりも胸に行ってしまうのは。男の性だ。


 まあ、ジャンの気持ちもわからんでもない。


 あのエロさは反則だ。


「か、会長!? それはダメです。ささっ、これをどうぞ」


 イアンがすぐさまシャーロットのもとに駆け寄り、上着を渡す。


「あら? いいでしょ。せっかくビーチに着たんだし、開放感を楽しみましょう?」


 いや、開放しすぎでしょ。


 主に胸あたりだけど。


 しっかりみえちゃってますよ?


 まあ俺からしたら嬉しい限りだけど。


 ありがとうございます。


 バカンスって最高だな!


 続いて、テトラとオリヴィアが登場した。


 テトラはワンピースタイプの水着だった。


 胸元が少し見える程度で、露出は少なめだ。


 妹に露出癖がなくて、ちょっと安心した。


 正直、妹にマイクロビキニとか着られると、複雑な気持ちになってたと思う。


 次にオリヴィアだが、彼女は三角ビキニを着ていた。


 最もオーソドックスなタイプだ。


 水着自体にインパクトはない。


 だが、胸のインパクトがやばい。


 巨乳揃いのメンツの中でも、オリヴィアの胸が一番大きい。


 普通のビキニのはずなのに、ついつい目がいってしまう。


 下手すると、シャーロットよりもエロい。


 ジャンの目もシャーロットの胸とオリヴィアの胸を行ったり来たりしてる。


 おい、ジャンよ。


 お前、クラリスが好きなんじゃないのか?


 そういう浮気心は良くないと思うぞ?


「あれ? ところでミーアは?」


「ああ。ミーアはあそこにいるぞ」


 オリヴィアが指差す。


 ミーアが岩陰に隠れながら、こちらを覗いていた。


「何してるんですか?」


「水着を見られるのが恥ずかしいらしい」


「恥ずかしい? なんで?」


「まあいろいろあったんだ……」


 オリヴィアが遠い目をする。


 なにがあったんだ?


 気になる。


「おーい! ミーア! 隠れてないで、こっち来いよ!」


 俺はミーアに手を振る。


 もしかしてみんな巨乳だから、肩身が狭い思いをしてるのか?


 そんなこと気にしなくていいのに。


 俺は巨乳も貧乳も好きだし。


「……いま、行きます」


 ミーアが恐る恐るといった感じで、岩陰から出てきた。


 その瞬間、俺は稲妻に打たれたかのような衝撃を受けた。


「こっ……これは!?」


「なんだ? あれは」


 ジャンが首をかしげる。


「おまっ、知らんのか!? あれはな、スク水だ!」


 そう! ミーアはスクール水着を着ていたのだ。


 それも旧スクだ!


 まさかこの世界で、スク水を拝めるとは思えなかった。


 ゲームの制作陣の努力が感じられる。


 彼らの水着へのこだわりに、俺は敬服した。


 水着にスク水は外せないよな。


 ミーアの少しだけふっくらした胸も、スク水ならではの良さが出ている。


 まさにベストチョイス。


 完璧だ。


 俺はミーアに向かってサムズアップをした。


「ほら、言ったでしょ? アラン様はこういうの興味がありそうだって」


「そ、そうですね……」


 シャーロットは俺のことよくわかってるな。


 まさか俺の性癖をここまで当ててくるとは。


 素直にすごいと思う。


 ぶっちゃけスク水が好きっていうよりも、この世界で見られたことに興奮しているわけなんだが。


 ……いや、それは違うな。


 認めよう。


 俺はスク水が好きだ!


「アランは妙な趣味してるんだね」


 クラリスがジト目で見てきた。


「いやいや、健全な趣味だと言ってくれ」


「兄様の思考は次元が違いすぎます。私に理解しかねます」


「褒めてもなにも出ないぞ?」


「いえ。褒めてはいません」


 おい。


 もっと兄を尊敬しなさい。


「お前は本当に妄想が豊かだな。作家にもなれるんじゃないか?」


「エロい話なら書けそうです」


 俺がそういうと、オリヴィアに冷たい目を向けられた。


 いや、そんな目で見ないでよ。


「アランくんが喜んでくれるなら……私、頑張ります」


 ミーアが恥ずかしそうにしながら、そう言ってくれた。


 この子、もしかして女神かな?


 天使か女神かのどっちかだと思う。


「ありがとう。でも、もう満足したから、変に気負わないでね?」


 ミーアは少々常識を知らないから、悪い人に何か吹き込まれそうで心配だ。


 実際、シャーロットに何か吹き込まれていたようだし。


 やっぱミーアって歳上なのに、年下に見えるな。


 魔法の訓練してるときは、頼りがいのある良い師匠なんだけどね。


 と、そんな俺の横でジャンがぼそっと言った。


「うん……ありかもしれない」


 ジャンが深く頷いた。


 おい、ジャン。


 それはむっつり過ぎるだろ。

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