高校の制服がスカートだった件
葉っぱふみフミ
女の子になるの?
プロローグ 入学説明会
白石高校学校校則 第3章 制服について
第1条 制服は学校が指定するものとする。ただし、リボン、ネクタイ、スラックス、およびスカートの組み合わせは自由とする。
第2条 2年生男子の制服については、リボン、スカートとする
森田蒼は全国屈指の進学校とはいかないまでも、県内有数の進学校白石高校に合格し、母の小百合と一緒に入学説明会にきていた。
期待に胸をふくらまし校門をくぐり、説明会が行われる体育館にむかう。途中、けして新しくはないがそれゆえに伝統を感じる校舎をみて、ここで3年過ごすのかとおもうと、蒼は胸が躍った。
説明会が始まり、
「皆様、合格おめでとう。そして本校への入学ありがとうございます。」
と学年主任らしき先生の挨拶から始まり、教育方針や書類の書き方や提出期限など事務的な連絡が続いた。ながい説明につかれてきたころ、最後に大事な連絡がありますと前置きした上で、校則の説明が始まった。
「当校は以前は白石女子高等学校といい「ハクジョ」の名で地域住民からの親しまれてきました。10年前共学化にともない白石高等学校に名前を変更となり、それと同時に昨今多くの学校で導入が進んでいるLGBTに配慮してのスカート、スラックスを選択性もとりいれました。」
蒼はここまでの説明を聞きながら、女子の制服でスラックス導入はニュースでよく聞く話で最近の流行りだよなと思った。
続いての説明で
「女子から男子へのトランスジェンダーの生徒については、周囲へのカミングアウトをしなくともスラックスの制服を選択しやすいのに対し、男子から女子へのトランスジェンダーの生徒については、スカート着用に際し周囲へのカミングアウトが必要なこともあり、導入後5年を経男子でスカートを選択する生徒がいませんでした。」
とあり蒼は、女子がスラックスでも誰も気にしないけど、男子のスカートはハードルが高いよなと思い聞いたが、続いての説明で、
「周囲へのカミングアウトなしに男子もスカートを選択しやすい雰囲気が作るために、2年男子の制服をスカートにすることにしました。またトランスジェンダーではない男子生徒においても1年間スカートを着用することでジェンダー教育に役立つと考えております。」
蒼は飛躍した理論展開に戸惑いながら、理解が追いつかいまま、説明を聞いていた。
「―というわけで、男子生徒については入学後は髪を伸ばしておくことを推奨しています。また2年生になる前に、スカートに切り替えても構いません。ウィッグの使用も自由です。」と先生の説明している間、ほかの生徒からは前から知っていた様子でとくに驚いた様子もなく説明を聞いている。横の保護者席に座る母をみたが、母も特に気に留めずに説明を聞いている。
母が何度も勧めてくるので、電車で1時間弱とはいえ県外の私立である白石高校を志望校にしたが、白石高校を受験を伝えた後の担任の「それは気づかなくてすまなかった。つらいことがあればいつでも相談してくれ。」という言葉は、難関校に挑む受験生を気遣った言葉ではなく、性の問題で悩んでいると誤解されていることを今理解した。
説明会の帰り道で母に制服のことは知っていたかについて聞いてみたら、
「ハクジョの制服は昔からかわいくて有名だったのよ。その制服を蒼が着たら似合うかなと思って。」
やっぱり確信犯だった。母は以前から女の子が欲しかったみたいで、蒼と同年代の女子と母親が仲良く買い物をしている姿を見るたびに、羨ましそうな表情で、
「やっぱり女の子はいいね。何歳になっても一緒に買い物できて。」
といっていた。白石高校の校則を利用して、娘をもつ母親気分を楽しむようだ。
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