第23話 【瓶詰めの悪魔】ファマリア(Famaliá)

 ファマリアとは、びんめられた小さな悪魔で、人々にとみをもたらすとされる。ほかの名前ではクラムリャゥン (Cramulhão) 、又はカペータ・ダ・ガハッファ (Capeta-da-Garrafa) と呼ばれている。ポルトガルから今のバイーア州あたりに入植にゅうしょくしてきた移民たちの間で、1590年代頃に広まった伝説に、この悪魔は登場する。


 ファマリアの力を手に入れたい人間は、ある儀式ぎしきを行って、悪魔を呼び出さなくてはならない。それは、カトリック教会で行われる復活祭の46日前の期間(四旬節というそうだ)に、雄鶏おんどりが産む小悪魔の卵を探すことから始まる。無事に卵を入手したら、卵が産まれてから最初の金曜日に、左のわきの下に卵を挟んで、深夜の四辻よつじに向かう。そこで、悪魔との契約が結ばれるように願いをかけ、その2時間後には家に戻り、ベッドに入る。そのとき左側を向いて横になって眠る。このようにすると、約40日後に卵は孵化ふかし、小さな悪魔が誕生する。小悪魔が生まれたら、それをびんめる。小悪魔は決して暴れたりせずに、びんの中で大人しくしている。特にえさをあげる必要はない。そして、その小悪魔を入れたびんを所持していると、持ち主には大金が舞い込んでくるのだそうだ。


 しかしながら、びんの持ち主が大金を得れば得るほど、小悪魔は、その者の魂を少しずつ奪う。最終的にびんの持ち主が死んだとき、小悪魔はびんから飛び出す。そして、小悪魔は今まで自分が閉じ込められていたびんに人間の魂をめ、地獄に向かう。

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