~デジタル脳に憧れる青年医師~

たから聖

第1話 若き天才医師。

デジタルチップをカプセルに

詰め込み……とある産婦人科で

妊婦に人体実験を

繰り返す……若き天才医師。



名前はC.フォード。



お目覚めは……いつもの

スムージーと葉巻である。


フォードはCDを片手に自分

好みにアレンジし始めると……

その、イカレた音楽を録音し出した。



その音楽とは、手術中に流す

フォードからすると

《作業用BGM的なモノ》であった。そのBGMは、フォードの


気分を高揚させるモノでもあったのだ。




次に、フォードはコーヒーを

沸かす。

刺激的なコーヒーの薫りを

充満させて、カルテを眺めていた。



フォードは……ため息をつくと

『コイツにするか。』と……

ターゲットを絞り出した。



【若くて可愛い。なかなかの

DNAを持っている。】と、

フォードは舌舐めずりしながら



と……診察室で不気味に笑っていた。





その頃……ターゲットとも知らない妊婦が、陽射しの強い中

あくせくと……フォードに

逢いに歩いていた。



その妊婦は……C.フォードの

甘いマスクや、優しい接し方に

いつしか淡い恋心を

抱いていた…………




ノックをすると、フォードが

色っぽい目付きで妊婦を出迎えた。


妊婦は、診察室へ呼ばれるなり

慌ててフォードに詰め寄った。



『先生、先生が開発された

カプセルを頂けると、伺いました。本当に私で良いのかしら?』



フォードは……その妊婦を

見つめながら再度、吟味していた。

フォードは……思わず


二重の目、透き通る肌、髪は

ツヤツヤで

まるでその妊婦は人魚の様な

美しい見た目を、していた。



フォードは……暑い眼差しを

送り……

『君のDNAが、気に入ったんだ。滅多にないよ?僕が特別

扱いするなんてね?』


さぁ、と……言わんばかりに

フォードは、妊婦に怪しい紙袋を

渡したのだった。



人魚の様な妊婦は……フォード

を見つめながら

『先生……今度は?いつ逢えるの?』



フォードは……何も言わずに

微笑みながらも、戸をパタン……

と閉めた。



妊婦は……フォードに渡された

カプセルを不思議そうに

眺めていた。


『どうしたものかしら?

お腹のベイビーには影響ない

かしら?』


人魚の様な妊婦は……とある所

へ、カプセルを急いで持って行った。


とある所とは、実家である病院であった。

『久しぶり~』


待合室で、優しい看護婦さんと

雑談をしていたら、その妊婦は

カプセルの入った怪しい紙袋を


ポロリ。


と……落としてしまった。




看護婦は、紙袋を見るなり

瞬間的に顔から、サーーッと

血の気が引いて青ざめた。



妊婦の両肩を掴み……

看護婦は慌てて問いただした。



人魚の様な妊婦は……嬉しそうに

『C.フォード先生に、素敵な

DNAだって、是非私に!って

ふふふ。選ばれたんだって!』


と……妊婦は自慢気に話していた。看護婦はさらに顔が引きつり…………



?!??

どうなの!?』


と……看護婦はユサユサと

肩にかけた手を揺さぶっていた。



看護婦は……半分、泣きそうな

顔をしていた。




『え…………?まだなんだけど……え?』



人魚の様な妊婦は、看護婦の

状況を見つめながらも、


急に恐くなったのだった。



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