第6話 な!なんだと!
あなたの望みは叶いますよ……
あれ?私さっきまで推しのアニメキャラを南国のビーチで罵倒しまくって写真を撮っていたはずなのに……何で、こんな何もない光だけがあるような世界になってんだ?
あなたの望みは叶いますよ……
うるさいな!さっきから「希」「希」って!私の推しのアイドルは「ともえ」ちゃん!ていうんだよ!何で、ともえちゃんのライバルの名前を出し続けてんだよ!嫌がらせか!
嫌がらせじゃねえわ!女神の私が夢に出てきて、願いが叶うって言ってんだからちゃんと聞けや!
はあ!女神だか、なんだか知らんけどな!私の「うふ!南国のビーチで推しのアニメキャラを罵倒しまくろうの旅!」を邪魔しやがって!どうしてくれんだよ!後もうちょっとで18禁ポーズの推しキャラをカメラに収められたのに!
私は、女神に掴みかかりガクガクと首を揺らす。
落ち着けぇぇ!おえっ!ちょっ!ちょっと!気持ち悪いってぇぇ!
女神許すまじ!許すまじぃぃぃ!
やばいってぇぇ!降参!降参よ!
許すマジィぃぃぃぃ!!!!!
あー!!もう!強制終了!!
ピピピー!!
「んば!許すまじぃぃー!うガァぁ!」
わたしは見事な一本背負いを女神に対して……ではなく、目覚ましに対して決める!
一本!それまで!勝者!ぽっちゃ……スレンダーJKふみ子!!!
「ありがとう!」
私が観客からの拍手に手をあげて答えていると、「また目覚まし時計壊したわねぇぇ!」
母が部屋に乱入してきて、パカん!と丸めた新聞紙で頭を叩く。
「いった!……くはないわ。おい!わしゃゴギブリちゃうぞ!」
「うっさい!さっさと支度して学校へ行きなさい!この10分で支度できない女子!略してJKが!」
「はぁ!10のJはわかるけど、Kはどこからくんじゃ!」
「できないの「き」よ!」
「全く略せてねえよ!」
そんな喧嘩をしながらも、制服に着替えて身支度を整え、家を出る。
途中でお腹が空いたので、ハンバーガーを購入して口に挟んで登校する。
学校の途中の曲がり角で慌てて走るクラスの男子とぶつかることはなく。
ぷっぷー!!と車にクラクションを鳴らされる。
「おい!口からレタスが落ちそうになってるぞ!ハンバーガーはレタスが命だぞ!ちゃんと食べろ!」
と、言い残して、ブーンと走り去っていく。
「新手の不審者か?とりあえず警察に言った方がいいのか?」
ハンバーガーを両手に持ちながら、私は、学校へと向かう。
もちろん!安定の遅刻である。これが私クオリティー!
1時間目は、「廊下に立っとれ!」で過ごし、2時間目からは、ちゃんと睡眠学習で授業を受けます。
私クラスになると、寝ながらでも勉強はできます!(推しキャラについて!)
昼休みには、お金持ちの異性を虜にするべく突撃しまくっております!(30人位には振られてるかな?)
最近では、小金持ちもターゲットになりつつあります。
今日は、小金持ちの「小金」君にアタックを仕掛けます。
「小金君!私と結婚して養ってください!」
告白は気持ちをストレートに伝えるのが良いと雑誌に書いてあったので、今回は、ストレートに伝えてみることにした。
「無理!痩せてから出直して!」
小金君は、屋上から踵を返して教室へと戻っていく。
私の心では、「やせて、痩せて、ヤセテ……から?あれ?おかしいな。お風呂の曇った鏡で全身を見たときはモデル顔負けのスレンダー体型だったのになぁ……きっと小金君の目にカビでも生えて腐ってるんだ!そうに違いない!さあ、振られたものはしょうがない!お昼を食べにレッツゴー!」
私は屋上から階段へと向かう。
その時、階段横にある全身を写すピカピカの鏡に写るスレン……ダ?な自分を確認して絶句する。
「……嘘だろ!現実の私はこんなにも横に大きな女子トイレのあのマークのような体型をしていたのかぁぁ!!!」
その時、私の頭の中に夢の中に出てきた、女神の声がこだまする。
痩せなさい……
め!女神様!
痩せなさい……さすれば、あなたの望みは叶いますよ……
本当ですか!分かりました!秒で痩せます!
「よっしゃーー!誰よりも細くなって理想の未来を手に入れるぞーー!!!」
つづく……
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