貞操観念逆転世界で世界一の配信者を目指す。

かにくい

第1話 ここは…?

「ここは..............?」


 起きると、真っ白な場所だった。


「本当にごめんなさい、事故だったの」


 そして、真っ白な世界に土下座している綺麗な女性。


 どういうこと?


「どういうことですか?」

「あ、急に謝れても分からないわよね」


 女性は、一度立って此方に向き直った。


「手違いで、あなたの事をもう死んだことにしてしまったの」

「..............は?」


 事情を聴くと、今日なくなるはずだったのは隣の部屋に住んでいる寝込んでいてもうほぼ寿命を迎える予定だった人だったが、手違いでどうも僕が死んだらしい。


 ..............僕の、花の大学生活が..............。


「そうよね、ごめんなさい。だから私、神様にお願いしました。別の世界のあなたと今ここにいるあなたの魂を交換する、という条件でどうにかまとまったんですけれどいいですか?」

「..............別の世界?」

「そうです、別の世界です。ちなみに、その世界のあなたは既に納得してくれています」


 ..............不味い、寝起き且つ、急展開過ぎてついていけない。


 寝起きって言っても、もう目覚めないかもしれないけれど。


「..............正直、今のところついていけてないですけれど、僕もあの世界には未練はない..............とは言いませんけれど、いてもつまらない普通の人生だったと思うのでで、僕も..............そっち?の世界にいってもいいですよ」

「ほ、本当ですか!ありがとうございます。正直ダメかと思っていました」

「でも、一つ聞きたいことがあります」


 花の大学生活、とかいっても僕は多分毎日、普通のなんてことない人生を送るんだろということが想像できてしまった。


 だから、僕はそんな毎日に終止符を打ちたい。


 僕は、異世界で勇者になる!


 父さん、母さん、ごめんね。最後に挨拶したかったけれど、違う僕が多分そっちに行くと思うから。


「僕はどんな世界に行くんですか?」

「それは..............男性が極端にいない世界です」

「..............は?」

「だから、男性が極端にいない。逆に言えば女性がほとんどの世界です」

「..............なるほど?」


 どうして、そんな天国みたいな世界を自ら手放したんだろう。違う世界の僕は。


「あー、それは、価値観の違いですね。あっちの世界では男性は女性にまもってもらうものという認識で、女性のほうが性欲も強いですし、男性は一歩も外の世界にでないなんてこともあります。一夫多妻が当たり前。男性側が女性の事を好ましく思っていないのがあの世界の現状です。男性が少ないため、女性が興奮して犯罪に走る、なんてことが多いため、しょうがないといえばそうですね」

「なるほど」


 そんな世界が嫌で、こっちの男女比一対一の世界に行きたかったわけか。っていうか普通に心読んでくるな。


「記憶は、保持したままですか?」

「そうですね、保持したままにすることもできます」

「分かりました、お願いします」


 僕の意識が段々と薄れていく。


 あっちの世界、楽しめそうだな。


 そう思いながら、僕は目を閉じた。



「良かった、バレなくて」


 そうつぶやいたのは、さっきの女性。


「だって、私の蒼君があまりにも可哀そうだったんだもの。あの子には、一生懸命

生きて欲しいし」


 そうして、映し出すのは男女比一対一の元の世界。


 そこでは、楽しそうに生きている姿が映し出された。


「この世界にいた蒼君には悪いことしちゃったけれど、本人も納得してくれているし。うんうん。なにも問題なーい。女神に手違いなんてないのだー」


 そう一回転して、笑った。

 

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