第3話 チュニック
息子の高校の近くには大きなショッピングモールがある。私は学校に用があって行く時は帰りにそのモールに寄って行くのを何よりも楽しみにしている。先日も学校に行ったので帰りにモールに寄ってきた。
婦人服売り場に用がありそこに行くと、買う予定には無い物が目に入った。チュニックだ。白地に青い花柄が四角く模様を2つ描いているデザイン。もう一つはクリーム地に少し茶色ががった黄色い小花が全体に散らばっているデザイン。一枚買って行こうかと散々迷って結局2枚とも買ってしまった。その後、ルンルン気分でカフェに寄って抹茶ラテを頼んで楽しいひと時を過ごした。
2日後、学校の授業参観と懇談会があった。この前買った黄色い花のチュニックを着て行こうと袋から出す。タグをハサミで切ってその服を着ようと広げてみるとなんと下半身の部分に5ミリくらいの丸い穴があいていた。タグも切ってしまったししょうがないから穴の部分は自分で繕って着ようかとも思ったけど、夫が「今日学校に行くんだからついでに返品か交換をして貰ったら」と言う。ダメもとで持って行く事にした。
懇談会も終わり夫と待ち合わせをしたモールに行く。同じ物がないかもしれないし、あってもサイズがないかもしれない。そうしたら色違いで紺色とピンクがあったから夏にはピンクの花かなぁと思っていた。紺は全体の色が紺なので暑そうだ。ピンクは似合うかなぁ?売り場を見ると全く同じ物の同じサイズがまた吊るしてあった。ラッキーと思ってそれをレジ台に持って行った。女性の店員が一人、その人に穴があいていたのて返品か交換をして欲しい旨を伝えた。新しく吊るしてあった同じ物を持っていって。他に女性店員が2人来て3人で丁重に謝られてしまった。あまりに丁寧に謝ってくれるので、なんだかこちらも申し訳なさでいっぱいになってペコペコしてしまった。お互いにペコペコ。ああ言う場は苦手だ。
あの店は引っ越し前に車でよく行っていたので懐かしさもある。そしてネットなどではあまり気に入った服が見付けられないのだけど、あの店の服は私の心にグッとくる物がある。「私の好みをよく分かってらっしゃる」なんて笑いながら夫に言っていたら、「バイヤーの人が同じ世代なんじゃないの?」と言っていたのを思い出した。そう言えば、レジ台のところから奥に呼びにいって出てきた私服の店員さん、責任者なのかバイヤーなのか分からなかったけど、3人ともみんな多分私と同世代の女性だった。夫の推理が当たったのでなんだか面白くなってマスク越しにうっすらと笑みが溢れてしまった。マスクがあって良かった。
気持ち良く取り替えてもらえたし、その後はそのモールで夫とお昼を食べたり夫と息子の服を買ったりした。スマホで1日の歩行数を帰ってから見たら15887歩。同じだけ歩いている夫は13000弱。「身長差が10センチあるからね」と私が言ったら夫が「足の長さが違うからね」だって。もう一回同じ事を言ってみたが、同じ答えが返ってきた。結局同じ事だけど、何か残念な気持ちでいっぱいになった。足の長さ・・・か。凄く歩いて疲れた1日だったけど、まあ楽しかったから良しとしよう。
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