第16話 黒龍の隠れ家

「ぼくが王太子フューネルだ。王都東地区の再開発について全権を任されている。今日は娼館の各店主に勅命を言い渡すために集まってもらった。面をあげ着席せよ。」


『黒龍の隠れ家』は高級宿屋だったが、現在はS級冒険者パーティー黒龍の拠点だ。黒キザハーレム野郎のシンに買い取らせた。娼館エリアと冒険者エリアの丁度中間地点に位置しているため『つるぎの会』の拠点としても都合がいい。


「それでは勅命を言い渡す。」


〇娼館経営は今後認可制とする。

〇娼館ギルドを創設し、許認可権限を与える。

〇娼館ギルドは娼婦全員に登録をさせ、SからEまでのランクづけを行う。

〇ランクごとに最低限の料金と給与を決め画一化する。

〇娼館には年2回、娼婦の健康診断実施を義務づける。

〇店主と娼婦は必ず契約書を結ぶ。

〇娼館での揉め事はすべて娼館ギルドで対処する。


「以上が今回の勅命だ。要は冒険者ギルドと似たようなシステムを娼婦と娼館にも適用するという意味だ。違反者にはもちろん罰則規定も設ける。質問を許す。」


たいだい100人ぐらいかしら。男が7割で女が3割ってとこね。まあ、勅命だから異議は出せないけど、どう出てくるかしら。この制度は主に娼婦の健康・労働条件・給与体系を守るためのだから、店主は嫌うわよね。


「ダンデライオンの店主ローズです。娼館ギルドの建物とギルド長はどうするのですか?急には無理だと思うのですが。」


「よい質問だ、しかもそなた美しいな。今晩ぼくとどうだ。」

キャー、ローズが真っ赤になって照れてるわ。可愛すぎる。


「それはさておき、建物はこの『黒龍の隠れ家』の1階部分を建物の完成まで貸し出す。建物は全権を任されているぼくが責任を持って建てる。キルド長は・・・そうだなぁ。ローズ、君が臨時でやってみるか?」


「ご冗談を、店主とキルド長の両方は無理ですから。」

「いや決めた。ローズ、君を臨時のギルド長に任命する。店は他の者に任せよ。」


ザワザワ。

ザワザワザワ。


「他に立候補者はいないのか?」


シーーーーン。


「いないようだな。2か月でこのシステムの運用を始めよ。この後は店主全員で話し合い、ギルド職員などの選定を始めよ。ぼくは退出する。ローズは今日からこの宿屋に住み、問題がある場合はぼくに報告せよ。」


イェ~イ、私とローズの愛の巣ゲット~。これで好きな時に会えるわね。いいこと考えた、タマとエリザベスもギルド職員にしてしまおう。筋肉アホとM男も喜ぶわね、


   ♦


「それでは『つるぎの会』の話し合いを始めようか。この話し合いには今日から新しく女性4名が加わる。娼館ギルド長のローズと黒龍の女性メンバー3名だ。始めに自己紹介とそれぞれの目標を話そうか。」


「王太子のフューネルだ。目標は王都を改革することだ。」

「騎士団長子息のギルだ。目標は王国一の剣士だ。」

「S級冒険者のシンです。1番はパーティーメンバーの幸せです。」

「影です。すべてはフューネル様のために。」

「ローズよ、臨時娼館ギルド長でフューちゃんの女です。」

「エルフのバルンララ、のんびり暮らしたい。」

「神官のボンキュでしゅ、お金がいっぱいほしいでしゅ。」

「狼獣人のグラマールだ、おもしろいことが好きだ。」


女性陣はみんな驚いてるわね。王太子にS級冒険者に未来の騎士団長に影だから無理ないんだけど。夜遊びから始まった点は、紳士協定で女性にはナイショよ。


「シン、このメンバーは何なのかしら~。」

「8人で王都東地区を牛耳るんでしゅね。」

「王太子殿下、おもろいわ~。」

「フューちゃんカッコいい。」


「それでこの話乗るのか?」


「「「「乗った!」」」」


「剣の会へようこそ、今日からこの場所が会の本部だ。1階はしばらく娼館ギルドに貸し出す。2階はギルド職員の住居で3階はこのメンバーで好きに使っていい。」


黒キザハーレム野郎のシンはそろそろ本気のハーレムが作れるように私とローズで協力してあげるわよ。パーティーメンバーもその覚悟があるようだし。


「そろそろお開きだが、黒キザはこのあと少し話があるから残れ。ローズも例の件、頼んだぞ。」


「殿下、何の話?」

「シン君、同じ屋根の下あの女性3名と一緒に暮らす訳だから、そろそろあの3名と肉体関係を結びたまえ。あの3人は待ってるぞ、君に襲われることを。」

「でも、まだダメって言ってたし。」


「ヘタレのバカタレー!女性からは誘いにくいんだよ、お前から行くんだよ。今ローズがあの3名と話をつけに行っている、いいなちゃんとヤルんだぞ。」


トントン。


「フューちゃん話はついたわよ。今夜はバルンララちゃんでOKよ。」

「ローズに感謝しろよ、黒キザハーレム野郎。」

「姉さんありがとうございます。」

「さあ行ってこい、一晩中バルンバルンだぞ。」

「はい!」


世話の焼ける奴だわねぇ、私は責任者としてローズと一緒に隣の部屋で監視しないといけない義務があるわね。さすがに覗きは趣味が悪いから、声だけよ。


「ローズ、ぼくたちも行こうか。」

「あの子、きちんとできるかしら?」

「だから隣の部屋で確認しようじゃないか。」

「フフフ。」



「優しくするよ、バルンララ。」

「待ってたわよ、来て。」

「あっ。」

「~っ。」

「シン好きよ、大好きよ。」

「ぼくもだバルンララ。」


やればできるじゃないの黒キザ君。

バルンバルンも嬉しそうね。


「ローズ、ぼくたちも始めようか。」

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