ワンショットの欲望

Eternal-Heart

第1話 コバルトブルーの逆光

唇に触れた柔らかさ

舌に触れた ほのかな甘さ

肌が醸す変わらない香り


思い出が消えても

身体が記憶を覚えている。


絵里香とは別れて20年以上経ったのに

身体が覚えている。




どれだけ互いを味わい続けただろう。

唇が離れる。


カーテンの隙間から差し込む

コバルトブルー 深夜の都会の灯り。



髪の柔らかなウェーブ

細い首すじ

華奢な肩

滑らかな背中のライン


見上げたシルエットに指を這わせる。



いつか映画で見たようなワンショット。

映像的な演出だと思っていた。


逆光のシルエットを指先でなぞる。

この再会が幻想でない事を確かめるように。

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