第4話 星

星を見ていた

「ねえ、あの星ってなんていうの?」

「うーーん、あれはね、デネブかな?」

しかめっ面で図鑑をぺらぺらめくる兄の顔が

必死で必死で、みるたびに面白い

「じゃ、あれは?」と間髪入れずにそういうと

困ったような顔をする その顔が昔から好きだった。

星が遠い昔に死んだように彼も星になった。

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