第4話

 おばちゃんは叫んだ。

「どうして!どうして駄目なの!」


 おじいちゃんの言い分はこうだ。一つ屋根の下で暮らしたことがある男女の結婚を認めることはできない。何故なら、結婚前に不都合なことがあったに違いないと世間が思うからだ。


 おばちゃんは泣き出した。

「広瀬さんは立派な人です。不都合なことなんかありませんでした。」

二人はお互いの手を握ったこともないとおばちゃんは泣いて訴えた。

 広瀬さんは男らしく、わかりましたと言った。親の許しはいらない、家を出ますと言ったおばちゃんを、広瀬さんは、親不孝をしてはなりません、あなたが好きだからこそ、そんなことをさせられない、自分は身を引きますと諭した。


 広瀬さんは、本当にいい人だった。あんなに想い合っていたのだから、一緒にさせてやればよかった。私はおじいちゃんに意見することができなかった。紘子にはかわいそうなことをした。


 そう言って、おばあちゃんは泣いていた。私ももらい泣きをした。それからしばらくして、おばあちゃんは亡くなった。

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