第5話 スキルなどの確認
蓮人の人生は散々なものだった。よかったのは小学校まで。懐かしい響きだ。そう言った子どもが通う学園があって、小学校と、そう呼ばれていた。
俺もそこに通う小学生だったわけだが、中学校に進学するや否や状況は一変する。身体が小さく力も弱かった俺は、イジメの標的にされたのだ。
無視、嫌がらせ、暴力……。
二年生になってもそれは変わらず、日々繰り返されるイジメに耐えかねて、俺はある時期から学校に通えなくなった。
……それから十五年。長い歳月を、自宅の二階にある自分の部屋で過ごしてきた。引きこもりって奴だ。そう言や当時、子ども部屋おじさんなんて言葉もあったっけな。
十五年だぞ、十五年……。
ほぼ部屋から一歩も出ずに、シャワーも数カ月に一度。家族が寝静まった深夜にならないと部屋から出ないような、そんな生活。そんなものを生活って言えるのかわからないが。
幼少の時よりあらゆる武芸、魔法、学問を習得し、修練し、社交界での駆け引きや政争、魔族との戦いに突入していったヴァレタス・ガストレットの人生とは比べ物にならない緩慢とした時間の流れだった。そう言えば、蓮人も今の俺と同じ二十九歳だったよな。なんの偶然だ?
そんな俺は、いったい何を望んでいたのだろうか?
……。
…………。
………………。
「んあ?」
横になった状態で目覚めた。
一瞬、何が起きたのか分からず、眼球だけを動かす。
暗い。夜か。
直前の出来事を思い出して、ハッとした。
そうだ。俺はディアベルによって再び転生したんだ。俺が元居た場所、現代の日本へ帰って来た。
ゆっくりと身体を起こす。
「ここは、俺の部屋か?」
なんとなく覚えている。このざらついた空間。空気も時間さえも淀みきったこの部屋で、俺は屍のように過ごしてきた。
「脅威は、ないようだな」
場の安全を確認すると、まず初めに自分のステータスを表示してみる。
確かこの世界では自分の能力値を表示できる機構はなかったはずだが、目の前にはしっかりとステータスが表示された。
***
名 前 凡野蓮人
称 号 狂戦神・統一王・覇王…➤
年 齢 14
L v 1
◆能力値
H P 8/12
M P 1/1
スタミナ 4/4
攻撃力 4
防御力 4
素早さ 3
魔法攻撃力 1
魔法防御力 1
肉体異常耐性 2
精神異常耐性 2
◆根源値
生命力 4
持久力 2
筋 力 1
機動力 1
耐久力 1
精神力 1
魔 力 1
…➤
***
次に…➤からスキルや戦技、魔法も確認する。
***
◆固有スキル
【王威Lv.1】
◆スキル
【鑑定Lv.1】【パーフェクトボディコントロールLv.1】【
◆戦技
【徒手格闘術Lv.1】【暗殺術Lv.1】【ダガー術Lv.1】【特殊ナイフ術Lv.1】【短剣術Lv.1】【剣術Lv.1※使用不能】【特殊剣術Lv.1※使用不能】【短槍術Lv.1】【槍術Lv.1※使用不能】【特殊槍術Lv.1※使用不能】【盾術Lv.1】【大盾術Lv.1※使用不能】【杖術Lv.1】【棒術Lv.1】【
◆魔法
【炎魔法術式Lv.1※使用不能】【水魔法術式Lv.1※使用不能】【氷魔法術式Lv.1※使用不能】【風魔法術式Lv.1※使用不能】【雷魔法術式Lv.1※使用不能】【草木魔法術式Lv.1※使用不能】【土魔法術式Lv.1※使用不能】【身体魔法術式Lv.1※使用不能】【精神魔法術式Lv.1※使用不能】【空間魔法術式Lv.1※使用不能】【創作魔法術式Lv.1※使用不能】
***
「どうやらスキルも戦技も魔法も、身についたままのようだな。多くは使用不能になっているが」
【魔法】に至っては、現時点で何一つ使えなくなっている。これは恐らく、魔力やMPが足りないからだろう。
【スキル】や【戦技】も同様に、魔力や筋力などの能力に依存するものが一時的に使えなくなっているようだ。
例えば、純粋な体術である【重撃波】は使えるが、魔力を使用する【徹甲拳】は使用不能になっている。戦技も重量のある武器類が、軒並み使用不能になっている。
今の筋力では持ち上げることすら不可能だろうからな。
「しかし、通常の剣や槍さえも振れないとはな……」
思わず溜息が漏れた。
「最後は【アイテムボックス】の中身だな」
***
◆アイテムボックス
【ポコ=チャッカ(1)】【エリクサー(180)】【上級ポーション(180)】【上級ソーン(180)】【万能薬(180)】【魔力のアムリタ(277)】【筋力のアムリタ(189)】【耐久力のアムリタ(199)】【機動力のアムリタ(230)】【生命力のアムリタ(205)】【持久力のアムリタ(205)】【精神力のアムリタ(210)】【古王家のリンゴ(56)】【神龍の干し肉(35)】【妖精のクルミ(68)】【星入りクリスタル(15)】【小クリスタル(3)】【神龍エインガルダの魔眼(1)】【神龍エインガルダの心臓(3)】【神龍エインガルダの大角(4)】【神龍エインガルダの血液(20)】【妖艶なる魔人の肋骨(4)】【妖艶なる魔人の小指(1)】【妖艶なる魔人の陰毛(5)】【悪神龍ヴリトラの大牙(6)】【悪神龍ヴリトラの甲殻(17)】…➤
***
…➤以降のすべてのアイテムもチェックする。どうやらアイテムもすべて揃っているようだ。
「しかし、レベル1に戻してほしいと頼みはしたが、スキルや戦技のレベルまでも、きっちりレベル1とはね」
女神の顔を思い出すと、少し憎たらしく思えた。
ただ【アイテムボックス】だけが前のレベルのままなのは、アイテムが溢れないための配慮なのかもしれない。
とは言え、予想以上に貧相な能力値だ。もう一度、自分の能力値と根源値を確認する。
能力値とは、一回の戦闘でのパフォーマンスに関係してくる表立った身体能力である。武器や防具などを装備することで変化するものだ。HPやMPは攻撃を受けたり魔法を放ったりすると消耗するし、激しい動きを続けていれば息が切れてスタミナも減少する。
一方の根源値とは、その人間の力の源のようなもので、能力値に関わって来る。例えば生命力が上がればHPや肉体異常耐性も上がり、魔力が上がればMPが上昇する。
しかしながら、十四歳でこれほどの数値の低さは見たことがないな。グラン・ヴァルデンで言えば赤ん坊程度だが、もしかしたら、こちらの世界ではこのくらいが平均値なのか……。
そして、先ほどから一番気になっているのが年齢が十四歳と言う点だ。
俺は二十九歳の時に死に、そしてグラン・ヴァルデンへ転生したはず。まだ記憶が完全に戻ったわけではないが、少なくとも十四歳で死んでいないのは確かだ。
ディアベルめ、しくじったんじゃあるまいな?
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