第4話階段

 古い学校には、大抵七不思議がある。

 例えば、トイレの花子さんや勉強しない二宮金次郎。

 でも、俺が知っているのは、屋上への十三階段だった。


「マサ君マサ君! 行くよ!」


 階段を一段ずつ数えていくと、なぜか上った時に一段多いのだ。


「1」

「2」

「3」

「4」

「5」

「6」

「7」

「8」

「9」

「10」

「11」

「12」


「あれ? 十三段ない? な、なんで!?」

「さぁー……? 今日は給料日なんじゃないか……?」

「どういう事?」

「いや、ただ、コウジさんも予定があるのかなぁーって思っただけだ。意味はない」

「あのカエル君の事、マサ君は、コウジさんって呼んでいるんだ……」

「悪いかよ。顔がカトウゴウジに似てるだろう?」

「どこが!」

「鼻が大きい所だよ!」

「……アア!」

「?」

「今日アタシどうしても外せない用事があったんだ?!」

「ヤマモトかぁ……」

「でも、たまには休んでもいいよね?」


(正直太陽がヤマモトに行こうか行かなかろうがどうでもよかった。なぜなら……)


「そんな事言って、今日も行くんだろ?」


 なぜなら太陽は、ヤマモトが好きだからだ。

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