月と太陽

獅子雄誠

第1話プロローグ

「恩を仇で返すなよ」


 それが俺の親父の口癖だった。

 そんな親父は、親友の保証人になったばかりに、俺の中学の卒業式の日に、家で死んでいた。

 その時は、むしろ涙なんて出なかった。

 ただただなんて親父は馬鹿なんだろうと思った。

 だから俺は、それから恩を売ろうなんて欠片も思ったことが無いのだ。

 俺が恩を売るときは、見返りがある時だけだ。


 そんな俺もすぐ高校一年生になった。

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