31話

自殺した仁村京一とおんなじ顔立ちの仁村京一が現れた。権平「京一、今日は午後から金さん始めるみたいだから。」京一「行けたら行くよ。」権平「連れねぇヤツだな、相変わらず。せっかく金さんの話し聞けるのに」仁村京一は割と裕福な家庭で育っている。助八と権平は同世代で小さい頃から知っている。


昼が過ぎて金さんの講話が始まっていた。金さん「天が許してもぉ♪この伊勢の金が許さねぇ。」金さんは歌うように話し始めた。会場というか、山奥にある公園のような広場に子ども達は集まっていた。その中に助八と権平もいた。助八「京一来てないな。」権平「チっ!いつものことだ。さっはじまるぞ。」

金さん「おりょりょりょ、そこにいるのは盗賊か、あいやあいや盗っ人か、はては悲しむ母上や、昔むかし、あるところに…」と始まり金さんのお話しは1時間ばかり続いた。終盤に差し掛かった頃、京一が現れた。権平「遅いよ。もう終わっちまうぞ。」京一「いいんだ。それで、僕は興味ないから。」助八はいつもの青ざめた顔色の京一を心配そうにみていた。権平「そんな事、金さんの目の前でいうとんな、聞こえるやろが!」金さんがいて、囲うように子ども達がいる、その後ろに少し大人な助八達がいた。京一の声は金さんに聞こえていた。金さん「これにておたっしゃで、伊勢の金より、晴れが好きぃ♪」パチパチパチ子ども達は拍手している。「ありがとう金さん。」子ども達の声援を聞く金さんの表情は幸せそうだ。60歳過ぎの金さんは笑うと表情に良いシワが入る。片付けをする金さんに近寄る子ども達、助八達も近寄る。助八「金さんお疲れ様。」金さん「おぉ、助八か。ありがとな。」権平「良かったよ金さん、飛びかかる金さんに逃げる盗っ人辺りが興奮したぜ!」金さん「そうかそうか、全部実話じゃぞ。ハッハッハ」権平「そりゃ金さんを目の前にしたら敵わねえよ。ハッハッハ」金さん「ほりゃ、京一つまんない思いさせたの。」京一「お気になさらず。」金さん「また気に入って貰えるような話し持ってくるからまた来ておくれよ。」助八「金さん今日も楽しかったよ。ありがとう。」

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