第6話

翌日、ルシアが話し合いの為部屋から離れると、すぐさまアッティラが襲来してきた。


「よぉ、来たぞ!」


「あ、あの、今日は何をするつもりですか?」


「そうだなぁ……」


そう言いながらアッティラは僕の隣に座ってきた。


「とりあえず、触らせろ。話はそれからだ」


「いや、待ってください!昨日顔を舐めてきたのにまだするんですか?」


「ああ、もちろんだ!」


「なんで……」


「そりゃ、トニーの事が好きだからだ。」


「いや、でも……」


「まあ、そう言うなって。」


そういってアッティラは僕の手を握ると自分の胸に押し付けた。


「なっ!」


「ほらほら、柔らかいだろ?」


膨らみは小さいが確かに柔らかく弾力がある。しかし、それ以上に恐怖の方が大きい。


「ちょっと、止めてください!こんなのおかしいですよ」


「おかしくなんて無いさ。好きな相手と触れ合いたいと思う事は普通の事だ。」


「でも……」


「それに、お前さんは王女様ともイチャイチャしてたんじゃないのか?」


「それはあくまで友達としてです。異性としては見てませんよ。」


「なるほどなぁ……じゃあ、私が先に貰っちまっても良いんだな?」


「え?」


「だから、私がトニーをモノにしても構わないんだな?」


「いや、それは……」


「まあ、どっちでもいいけどさ。」


そういってアッティラは胸に触らせていた僕の手を少しずつ下げていく。

幼児特有のぷっくりとしたお腹に触れ、ドキドキする。


「おい、離れてくれ!」


「嫌だね。せっかくなんだから楽しませて貰うぜ。」


そして、ついに僕の手が彼女の股間に触れる。


「ひゃん!」


彼女は小さな悲鳴を上げる。


「やっぱり、ここは弱いんだ…」


僕は彼女から離れようとするが、ガッチリ掴まれていて逃げられない。

流石にアッティラも恥ずかしかったのか手を下腹部から遠ざけ腕に抱きついてきた。


「いや、離してくださいよ!」


「なんだよ、別に良いじゃないか減るもんじゃないしさ。」


「そういう問題じゃないんですよ!」


「ふぅん……」


アッティラは少し考える素振りを見せる。


「そうだなぁ……もし私を抱いてくれたら解放してやっても良い。」


「え?」


「どうだ?悪い話ではないだろ?」


「いや、でも……」


「それとも、私を抱くのは嫌なのか?」


「そんなことは無いけど……」


「だったら、何も問題はないだろう?」


「……」


僕は悩んだ末、アッティラの要求を少しだけ飲むことにした。

アッティラは強がってるがさっきの反応から最後までいくことはないだろう…多分


「分かった。抱くよ」


「よし、交渉成立だな。」


アッティラは満面の笑みを浮かべる。


「それで、どうすればいいんですか?」


「そうだなぁ……まずはキスからしてもらおうかな。」


「分かりました。」


僕達はお互いに見つめ合う。


「あの、目閉じてもらえます?」


「どうしてだ?」


「緊張するので……」


「いいよ」


アッティラはすぐに目を閉じた。


まつ毛が長く整った顔立ちをしている。


「いきますよ……」


僕はアッティラの顔に自分の顔を近づけて唇を合わせた。


柔らかい感触と共に甘い匂いが鼻腔をくすぐる。


「んっ……」


舌を入れられそうになったその時、扉が開かれルシアが現れた。


「トニー、やっと話し合いの時間がおわっ……たから……」


僕達を見たルシアは笑顔のまま固まっている。


「ごめんなさい。邪魔したわね。」


そう言うとルシアは部屋から出ていった。


「おい、待てって!」


アッティラが慌てて追いかけようとしたがすでに遅く、僕の目の前には誰も居なくなった。


「ヤバいな……」


「何がですか?」


「お前も見たろ?あいつ今にも殺しそうなくらい目が据わってたぞ。」


「確かに……」


「このままだと確実に殺されるな……」


「え?」


「だって、私とトニーのあんな姿を見てしまったんだぞ。普通なら殺すか監禁するかのどちらかだと思うぞ。」


「いや、でも……」


「でもじゃない!とにかく逃げる準備をしろ!」


「逃げたとしてもどこに行けば……」


「それはだな……」


そう言いかけた時、部屋のドアが開かれた。

そこには予想通りというべきかルシアの姿があった。


「二人共、話し合いは終わったの?」


「はい、終わりました。」


「そう、良かった。」


「あの……」


「何かしら?」


「そのですね、実は……」

僕が弁明しようとした瞬間、アッティラは僕の手を引いて走り出した。


「行くよ、トニー!」


「え、ちょっと待って!」


アッティラは僕を連れて全力で走る。

しかし、すぐに追いつかれてしまった。


「あら、何処に行くつもりなの?」


「おいおい、冗談きついぜ……」


「冗談なんかじゃないわよ。私のトニーを傷物にするなんて万死に値する行為だもの。」


「いや、別に僕はそこまでされてないですけど……」


ルシアはアッティラの方を見る。


「ねえ、アッティラ。あなたに聞きたいことがあるんだけど、良いかしら?」


「あぁ、答えられることであれば何でも答えるよ。」


「じゃあ、質問するけど。」


そう言ってルシアは人差し指を立てる。


「貴方は、トニーの事が好き?」


「ああ、好きだぜ。」


「それは異性として?」


「もちろんだ。」


「嘘偽りはない?」


「無いぜ。」


「それを聞いて安心したわ。」


「どういう意味だ?」


アッティラは首を傾げる。


「トニーをね私たちで囲ってしまえば誰よりも幸せにできると思わない?…それはそれとして私以外とイチャイチャするのは嫌だけど」


そう言うとルシアはアッティラに向けて手を差し出す。

「私も彼の事が好きなの。だから、二人で彼を愛してあげましょう。」


「良いな、それ!」


アッティラは手を握り返す。


「勝手に話を進めるないでよ…」


「大丈夫よ。トニーは細かい事は気にしないでいいの」


「そうだぞ。」


二人は僕の事を抱き寄せる。


「いや、でも……」


「まあまあ、落ち着けって。とりあえず、私達の話を聞けよ。」


アッティラは僕の頭をポンッと叩く。


「私達はお互い好き合っているから一夫多妻制は賛成なんだ。それに、三人一緒の方が楽しいだろ?」


「うーん……」


「ダメか?」


「そういう訳では……」


「だったら決まりだな!」


アッティラは嬉しそうな表情を浮かべる。


「私はアッティラ・ザミョールだ。よろしくな!」


「ルシア・フォン・ウィットブレッドよ。こちらこそよろしくね。」


二人が握手を交わす。

こうして何がなんだか分からないまま僕の嫁同盟が結成された。

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