第20話 地下都市アイアン王国

ーー 地下都市アイアン王国

僕らはイノセント王国の二つの集落を巡っただけでかなりの食材を放出したため一旦人族の国に行く必要が出て来ました。

そこで東に進路を取り東国(アズマコク)を目指す事にしたのです。

ここで僕たちは新たな国を見つけるのですがそれは地下都市で、今まで人目につかず誰も知らない王国でした。


馬車で東国を目指していると従者のケインが

「使徒様なぜ今回イノセント王国では使徒様の存在を明かさなかったのですか?」

と疑問に思ったのだろうそう質問してきた、するとカイトやガルフも同じ思いだったみたいだ。僕は

「僕の存在て女神ありきでしょう。彼ら彼女らの生活に宗教という物が何一つ感じられるものが無かったんですよ。」

と言いながらさらに

「蜂は女王蜂一人が卵を産みます、蜘蛛も卵ですしあそこには女性しか居なかったでしょう。多分人とは根本的なものが違うと感じたのです、だから宗教的な話はしなかったのです。」

と理由を言うと一応皆納得した顔をした。


馬車はそんな話をしながらも何もない荒野を進んでいきます、あまり何もないので僕は従魔である雷鳥を呼び出し

「久しぶりだね君の名前を決めたんだ、ライと言うのはどうかな?」

と言うと雷鳥は羽を大きく広げ悦びを表したので

「喜んでいるとこ悪いけどちよっと頼みを聞いてくれないかな」

と言うと頭を振りオーケーの合図そこで

「上空からこの周辺を見てくれないかな何もなさ過ぎる気がするんだ」

と言うと大きく羽を広げ音もなく飛び立った、高く舞い上がると円を描きながら外へ外へと広がりながら周囲の監視を行い始めた。

僕はその視覚を共有しながら地上の様子を見ていたが本当に何もないのだ、人が居た後や移動した後さえ確認できない、おかしい。

ある程度進んだ所で僕たちは野営をする準備を始めた。

その間僕は鑑定魔法と索敵を複合して地上から地下までの索敵を実施した。

するとかなり深い位置だが地下に大きな空洞がありそこに人の様な反応が沢山あるのを確認した。

「エストレーナ、この下に地下都市みたいなものがあるみたいんだが入り口を探して見るべきかな?」

と意見を聞くとエストレーナはにっこり笑って

「使徒様はもう探すつもりでしょ、私に聞く必要はないと思いますよ」

と答えてくれた、そう僕はもう行きたくてしょうがなかったんだ。


ーー 入り口はどこ?


僕は朝になってから入り口を探す事にした、馬車を進めながら地下空間の中央を探すと昨日の様にライを召喚して周囲を探させる、さらに地下の索敵を広げ出入り口と思われる通路を探すと約5kmほど先の岩場に一つの出入り口を見つけた。

移動し出入り口と思われる岩場を観察すると岩に見せかけた金属製の扉を発見した

「ここが出入り口で間違いないな」

と確信したが黙って入る事に後ろめたさを感じた僕は暫くここで誰か出てくるのを待つ事にした。

何故ならこの入口から東に轍がいく本か伸びているのを確認したからだ、商人か何かがここを利用し出入りしていることは間違いないそれなら待ってみるのも良いだろうと考えたのだ。

3日後予想通り東から馬車が近づいてくるのを僕は気づいていた、馬車は大きな樽を幾つも積んだもので商人が荷を運んでいる様だった、その荷馬車が出入り口で止まり近くにいる僕たちの馬車に気付き商人の一人が声をかけて来た

「こんな所でどうしたんだ?馬車が壊れどもしたか?」

とここに居る理由を聞いて来たので

「実は私たちはセンターターク王国から旅をしている教会の者ですが、この地下都市に行きたいが紹介者がいなくどうしようかと人が来るのを待っていたのです。あなた達は地下都市に商売で向かわれるのでしょう?」

と尋ねると聖騎士の鎧を身につけているエストレーナを見ながら

「ここの住民は火の神土の神しか敬いませんがそれでもと言うなら口利きをしても良いですが、何か彼らが欲しがるものはお持ちですか?」

と言うので逆に

「彼等とは何者で何を欲しがる人ですか?」

と聞けば商人は

「精霊種ドワーフですよ、彼等は酒と鍛治が大好きな種族です珍しいお酒でも持っていれば話は簡単ですが」

と言う商人に

「お酒なら売るほど持っていますがこれならどうですか?」

と収納から取り出した70度もある火酒を味見させると

「これは驚いたこんな酒精が強いお酒は初めてです、これならいけますよ」

と言いながら馬車に戻ると何か魔道具の様なものを取り出し扉に向けると自動ドアの様に扉が開いたのだ。

その後商人達の後をついて穴蔵の様な通路を進むこと2時間広い空間に出た、そこは地下都市の入り口と言える門があり兵隊の様な人が立っていた、商人は何か観察の様な物を見せながら僕たちの方を指差し何かを話していたが一人の兵士が近づいてきて

「酒精の強い酒を売るほど持っていると言うのはほんとうか?」

と聞いて来たので収納から10本ほど瓶入りの酒を取り出すと

「どうぞ味見をしてみてください」

と言うとニコリと笑いながら

「そうか、じゃあいただくぞ」

と言いながら蓋を開けると一気に飲み干した、そして

「かーっ」

と声を上げると他の兵士を呼びつけ

「おいこの商人の酒は今までにないほど美味いぞ」

と言いながら僕の差し出した残り9本を兵士で全部その場で飲み干した、すると

「なるほどこれは良い、お前良い商品を持っているな良いぞ中に入れ」

と言いながら門を開け僕たちを地下都市に招待してくれた。


ーー 地下都市の生活


門を潜るとかなり広い空間が広がりそこが地底都市であることは間違いなかった、驚いたのは地上と同じ様に空があり太陽のような物まであり明るかったことだ。

しばらく道沿いに街の中を進むと大きな建物に突き当たり商人がそこで馬車を止めると中の人に声をかけた

「酒をお持ちしました」

と。

するとすぐに人が我先にと飛び出すと商人のに馬車から酒樽を運び出し建物の中に運び込むと空樽を代わりに積み込み金を払うと商人は馬車を回して帰っていった。

僕らは取り残された形になったが一人の男が気づき声をかけた

「お前達は誰で何しに来たんだ?」

とそこで僕は先程兵士に飲ませたさかびんいりのさけを10本ほど取り出し

「この様な酒でよければ売るほどありますがどうですか?」

と先ずは心象を良くしようと試飲を進めた、すると男は蓋を開け匂いを嗅ぐと

「おお、これは良い香りだ少し待て」

と言いながら一気に飲み干したそして

「美味い!これなら十分良い値段の話をしよう、さあ中に入ってくれ」

と建物の中に案内した。


建物に入るとそこは酒場だった。

僕はこの地下都市の重要な施設だと思っていたので肩透かしをくらった様な感じを受けたが、そこで騒いでいるドワーフ達は先ほど持ち込まれた酒樽を本当に美味そうに飲み干していたのをみて。

「これはこれでアリだな」

と呟いた。

そして収納から先ほどの酒の樽入りを20個ほど取り出すと先の男性にお好きな値段でいいですよと相手に値段を決めさせる事にした。

そこからこの建物内は戦場の様な慌ただしさに包まれていた、それは僕が持ち込んだ酒はここに居るドワーフ全員の胃袋を掴んでしまったからだ、

「これなら一樽金貨10枚だ」

「これが金貨10枚だと俺なら金貨12枚は出す」

と一人が言うと

「俺なら金貨15枚だ」

「それなら俺は20枚」

「俺なら25枚だ」

とセリのようだがキリがないほど値が上がる、どうしようかと思ってたところで

「キリがない、ワシがまとめて買うそれで良いなじゃないと飲めんだろうが!」

とかなり貫禄のある男性が言うと皆が従った、そして僕に

「金貨がどっさり入った袋を差し出し

「これでお願いする、使徒様。」

と言って皆に向き直ると

「よし、これで飲み放題だ酒を開けろ皆で飲むぞ!」

と言いながら自分から樽を開けるとジョッキを突っ込み救うように酒を注ぐと、一気に飲み出した。

「美味い!」

それ以外の言葉わいらないようだ、そこで僕はツマミにと持ってきた燻製品を取り出すと

「サービスです、味見がてらどうぞ」

と先ほどの男性に差し出すと、一つ摘み口にそして酒を煽る・・、

「こりゃ良いツマミだ」

と喜んだ、すると他の男達も集まりツマミを摘みながら酒を飲み出した。

酒場の宴会はいつ終わると知れず続いたので僕らはそっと外に出ると宿を探した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る