お助け仮面

 勇気とハーレムメンバーは幾つかの困難を乗り越えつつ、イチャイチャとラッキースケベを繰り返しながら絆を深め、遂に目的地であった倉庫へと突入した。


 倉庫に突入するとそこには。

 禍々しい人型の化け物がいた。


 黒いの角が2本生え、大きく禍々しい紫色の翼を生やし、全体的に薄い紫色の肌をした身長180センチ程の男性型の化け物。

 服は禍々しい大きなローブを被った感じ、顔は真っ白な仮面のようなナニカが覆っていてよく分からない。


「お前が今回の事件の元凶か」

「元凶ですか。ハハハハハハハハハ。この様子を見て私が元凶ではないという理由がないのであれば教えていただきです。そうですよ。私が死肉操作を使ってゾンビを暴れさせた死霊呪術師です」

 勇気の問いに化け物は堂々と答える。それを見て正義の炎を燃やし、この化け物を絶対に倒すと心に誓いを立てた。


「そうか。やはりお前が今回の事件の元凶であり犯人か。ならば教えろ。何故こんなことをした?」

「何故ですか。それはもちろん貴方をここまでおびき寄せて殺して私の最強のゾンビとする為ですよ」


「そうか。お前はそんなふざけた理由でこんな事件を起こしたのか。ふざけるな。狙うならば俺一人を狙えよ。他の人を巻き込むな」

 それは勇気の心からの叫びであった。勇気にとってみれば自分のせいで誰かが苦しむというのはとても耐えられ難いことであったのだ。


「そう。おっしゃられましても、では問いますが貴方に私が【お前を殺してゾンビにしたいからこの倉庫に来い】っていう明らかに怪しい手紙を渡されたら来ますか?」

「ああ、来てやるよ。そしてそれを全て俺の力でねじ伏せてやる」


「そうですか。それはまあ、随分と自信家ですね。では私を今この場でその力とやらでねじ伏せてみてください。この我相手にね」

 そう言って禍々しい波動を放つ。


「なんて力。勇気くん逃げよう。コイツは今の私達じゃあ絶対に勝てない化け物よ」

 その波動を受けて白木さんは今戦おうとしている相手が自分達の圧倒的格上であり。絶対に叶ない相手だと悟る。


「おやおや、そんなことを言って逃がすと思いますか。結界」

 その瞬間。倉庫全域に結界が張られ、閉じ込められる。


「結界を張られてしまいましてわ。申し訳ございません勇気様。今の私の力ではこの結界を破壊することは出来ません」

 マリアンヌは自分の力量を正確に理解していた。そしてその眼で結界を見て自分の力では破壊出来ないとも、この化け物相手には適わないと理解出来てしまった。


「そういうことだ、小童共、大人しく我にぶちのめされるがよい」

 更に波動を放つ。それを汗を垂らしながらなんとか耐える。

 そして波動が収まった瞬間に勇気が叫んだ。


「そう簡単にぶちのめされてたまるか。くらえ俺の力を」

 自らの霊力を聖力を混ぜて放つ。

 それは混沌弾の劣化版、聖霊弾であった。込められている聖力と霊力の量はさして大きくはない、しかし本来は混ざることのない二人の力が混ざっている為に、その威力は中級悪魔程度ならば一発で消滅させるレベルであった。


「ふむふむ、中々に良い力ですね。ですが我にその程度の攻撃が届くと思っているのか」

 

 ドン


 指向性の波動が放たれ、聖霊弾をかき消した上で勇気に直撃する。


「ぐア」

 勇気は盛大に吹き飛び壁に激突する。


「大丈夫ですか?勇気様。今、援護します。神よ我が祈りに答えて悪しき者を閉じ込める結界を張り為。神聖結界」


 パリン


「何ですか、今の結界は?煎餅の方がもう少し硬いですよ」

 マリアンヌの張った結界は一瞬のうちに破壊される。


「まさか、そんな簡単に破壊するなんて」

「コラ。マリアンヌ何を呆けているの。敵は目の前にいるでしょ、破道・霊術式・1式・霊弾」

 放たれた霊弾は当たる前に消滅した。


「ふむ、今何かしましたか?ゴミでも飛ばしましたか?」

「嘘、当たりすらしないなんて、そんなことある?」


「ありますよ。何故なら私ではなかった我の様に力の大きな存在は普段から身体に高濃度の力を纏っていますからね」

「それってまさか、魔纏、一部の強者にしか使う事の出来ない高等術」

「おお。物知りですねお嬢さん。そうですよ魔纏ですよ、多分今のあなた達ではこのわた、我の魔纏を破壊することすら出来ないでしょう」

「そんなことはない。うおおおおおおおおお」


 ドン


 勇気が大きく叫び声を上げながら何処からともなく生み出した剣を振りかざし強大な一撃を放った。

 その瞬間剣が大きく光り輝き聖なる力が纏わりつく。


「まさか、今のは聖剣付与、極一部の聖職者のみが使える秘技。流石勇気様です。誰にも教わっていないのにも関わらず聖剣付与を使えるだなんて」

 マリアンヌの驚きと喜びの声があるがる。がしかし。圧倒的な格上の前では無意味であった。


「ふむ。今のは少しだけ痛かったですね。ですが我には再生があるので。ほら。今の攻撃で付いた傷はもう完治しましたよ」

「じゃあ。お前の再生能力がなくなるまで何度でも放ってやる」

「おお。いい考えですね。でも今の攻撃でしたら多分1億回喰らっても平気ですよ。それよりも貴方の体力は大丈夫ですか?相当お疲れに様ですけど」

「クソ。でも、まだいける。うおおおおおおおおお」


 ドン


 勇気が腹を殴られてまたもや盛大に吹き飛ぶ。


「勇気様」「勇気さん」「勇気君」


「くそ。すまない皆。でも安心してくれ。俺が絶対に三人は守って見せる」

 そう言ってフラフラながらも立ち上がり剣を構える勇気。


「勇気さん・・・」

 ただ猫子だけは今現在、目の前にいる存在が、自分の敬愛する主様から重宝されている三天魔の一人バトラー様であると理解していた。

 そしてこれもおそらく主様のある意味でのおふざけのようなものだと分かっていた。

 それでも勇気のその言葉に猫子はときめかずにはいられなかった。


 そん時だったいきなり目の前に主様もとい陰晴が現れた。

 ただし、その姿は白色の仮面を被り。両腕に黒と白のガントレットに鎧を携えたいつもとは違う姿であった。


「俺が来るまでよく耐えたなお前ら。後はもう大丈夫だ。俺にまかせろ」

「貴方は一体・・・」

 ボロボロの勇気が一言そう呟く。


「俺か?そうだなお助け仮面っていった所かな?さてとそこのお前覚悟しろよ。霊弾」


 だだだだだだだだだだ


 大量の霊弾が打ち放たれて化け物に襲いかかり当たり爆発してく。

 霊弾とは本来であれば弱い術であり、さして威力はない、しかしながら、お助け仮面の放った霊弾は勇気が先ほど放った聖霊弾を優に超える程の威力を持っていた。

 その事実に勇気、含め、皆が驚く。そこにあるのはこのお助け仮面という存在の圧倒的な力であったのだから。


「グハ。何という威力。それが無詠唱の霊弾の威力ですか。いやはや、それに何という連射力。恐ろしく強いですね。しかし我も負けていられませんよ。千呪釘・刺魔獄」

 呪いのこもった千の釘が出現して陰晴もといお助け仮面に襲い掛かる。


「盾」


 たった一言そう口にしただけで周りに盾が出現し、千の釘全てを弾く。


「何だと。今のをそんな簡単に。何という力だ。今の我の力では到底敵わない。こうなったらば逃げるのみ」

 その立派な羽を広げて飛び立つ。


「おいおい、そう簡単に逃げれると思っているのか?結界からの爆ぜろ」

 飛んでいる化け物の周りに身動きが取れぬように結界が張られ。そして結界内が爆発した。


 ドゴン


 そうして化け物が死んだのか。結界が解かれて辺り一面に爆発の余波により濃い煙が立ち込める。

 煙が晴れた頃には黒色の人型であったであろう何かが爆発痕に落ちていた。


「死んだのか?」

 勇気がそうお助け仮面に問いかける。

「ああ。死んだよ。さてとでは俺は去る。あ、それとこれはサービスだ治癒」

「俺の傷が一瞬で治った」

「ではな」

「あのう。助けてくださりありがとございました」

 そう言って勇気が頭を下げた頃にはお助け仮面は消えていた。


―――――――――――――――


 我ながらお助け仮面はセンスがなさすぎたような気がする。


 因みにお助け仮面はこれからも勇気がピンチの度に出てきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る