第7話 10回クイズ
「10回クイズしませんか?」
そんな風にいきなり、自称幼馴染はそう言った。それまで、彼女は不機嫌であった。
確か、彼女は部活動を見学しに言ったらしく、帰ってくるのは僕が喫茶店を閉めてからだった。だから、喫茶店をドアを開けようとして開けれない彼女を家から眺めるのは少し滑稽で面白かったなんてことがあった。いや、この時はそんな怒ってない気がするので
その後、確か、見学してきた部活動が調理部だったことからやめておいた方が良いと忠告して「私料理本気を出せば出来るから」ああ、これね。多分これだけど、怒ってた理由は、そそれか。それで、その後の初会話が10回クイズ?
まあ、先手を取れば良いか。
「じゃあ、僕が問題だしてあげますよ。」
そういうと彼女は
「えっ、普通私が……まあいいですよ、引っ掛かりませんよ、私。」
10回クイズか。えっと……
「隣の柿は良く客食う柿だ。って10回言って。」
そう僕が言うと彼女は、こっちを睨んだ。
「それは、早口言葉だし、無理。ねえ、違うのー出して」
「もしかして、言えないんですか?それともクイズ答えられないのが怖いんですかね?ああ、まあ高校生の君には出来ませんよね。知ってます知ってます、良いんですよ、出来なくても星宮 楓さん」
そう僕が煽ると彼女は
「高校生は関係ないでしょ。出来ますよ、出来るに決まってますよ。見ててくださいね。」
あっさりと煽りに乗った。ちょろいな、そのちょろさは心配になるが、今はそのちょろさに感謝知っておこう。それに昔は、幼馴染には煽られていたが、まあ幼馴染じゃないけど煽れるのは楽しい。
彼女が10回繰り返す中で柿をきゃきと言ったり、客をかゃくと言ったりするのを見つつ彼女は何とか言い終えたので僕は彼女にクイズを出すことにした。
「柿には、渋柿と甘柿があります、どちらの方が糖度が高いでしょうか?」
僕の言葉を聞いて彼女は目を見開いた。
「ただのクイズじゃん、さっきの早口言葉10回は何だったわけ?ねえ、空くん。てか、私は君の幼馴染の生まれ変わりだけど15歳だよ、大人げないよ。」
そう言って文句を言って来た。
「分からなんでですか?前の10回は答えやすいように口を運動させてあげようかなって」
そう言って僕が笑うと彼女はさっきしばらく考え込んでニコリと笑みを浮かべた。
「これは、あれですよね。ひっかけで実は渋柿のほうが甘いとかですよね、空くんの出しそうな問題はどうせそんなもんですよ。」
そう言ってどや顔を決めるので僕もどや顔で
「同じぐらいです。糖度は同じぐらいです。お疲れ様でした。それで君は問題あるの?」
そう言い返していた、15歳に28歳がやる所業ではなかった。
「……もう、10回クイズはいいです。次の機会にします。だから、とりあえず、お詫びにさっさと夕食を作ってください。」
そう言って彼女はポカポカ殴ってくるので仕方なく夕食を作り始めることにした。
「手伝います?」
気がつけばそんな風に聞いていた。
「はい、見せてあげますよ。私の実力を」
「加減してください」
気がつけばそう言って笑っていた。何を僕はしているのだろうか?彼女が本当に幼馴染みたいで……完全にペースが崩れている気がした。
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