探偵王子アーサー
◎◯
王子を探せ!
「どこに行ったぁーーーーーーッ! あんのバカ王子がぁーーーーーーッ!!」
王子の部屋から出てきたエドガー警備隊長はその声を廊下の果ての壁にぶつけるような勢いで叫んだ。仕事熱心な人だなぁ。
「お前は何をやっていたァッ!」
おっと、怒りの矛先が
「王子は変身魔法の天才ですから。ハエとかアリとかならまだしも、目に見えない霊体とかに化けられたら簡単に抜け出されてしまいますよ」
責任回避を試みた。怒られるのは好きじゃない。
「ぐぬぬ。あの妖怪王子がぁ。結界はどうした! なぜ結界の中で変身魔法が使える?!」
「さぁ?」
ボクの返答にエドガー隊長は何かを言おうと一瞬大きく口を開けかけたけど、そのまま眉間に深い縦皺を作りながら、両目を閉じ、暫し黙考した。自分の中の何かと闘っているようだ。ガンバレ隊長。自分に負けるな。
「……まあ、いい。追うぞ」
「え? 王子が何処にいるのか知っているんですか?」
「ああ」と言ってエドガー隊長は立てた親指で背後の部屋の中を指した。
そこには『速報隊』からリアルタイムで送られている
『--のように、現在、オールドリッチ家では、何らかの手段で石化されたカーティスさんとハリエットさんを救うために、何と、あのロン宮廷大魔道士に匹敵する能力を持つと云われる大賢者シンディ様自らの手による懸命な解呪作業が進められており--』
と、若きイケメンエルフの石像をシンディおばあちゃんが額に汗しながら必死に解呪しようとがんばっていた。
この人が解呪出来ないなんてこともあるんだな。石化させたのは余程の術者なのかな?
おっと、そんなことより--。
「王子はここにいると?」
「そうだ。あの
エドガー隊長は忌々しげに眉を吊り上げた。
「必ず事件現場に現れる! ついてこい!」
「え? ボクも行くんですか?」
言った途端に怒鳴られた。
「お前が逃したんだろうがぁッ!!」
と、いうことでボクまで王子捜索に出ていくハメになってしまった。怒鳴られるのも好きじゃないんだけどなぁ。
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