南国の幻想 オルゴールの中の小宇宙

第1話 小さな小宇宙

不思議のメリーゴーランド　それは小さなドーム型のオルゴール

中にはキラキラと輝く銀色の小さな破片も入っていた

その中にあるのは回転木馬　音楽に合わせてクルクルと・・廻る

他を見渡せば・・隣には・・

此処は

漆黒の宇宙に浮かぶ衛星都市の中にある大きな街　アメリカのハワイを模した街

波音に心地よい音楽が流れ、プルメリアの花の甘い香り

ヤシの木や大きな南国の木々が揺れて　遠く向こうにはダイヤモンドヘットもあった

海を楽しむ者達が笑いさざめき、ビーチでも多くの若者たちの笑顔

「あら、雪が降ってきた」「そうよね　今日はクリスマス・イブよ」

ハワイにある　ピンク色の古い建物を模した豪奢なホテル

夏のリゾートと季節の冬　クリスマスが同居した　異国情緒の不思議な装飾

すぐ傍には　ショッピングアーケード

飾られているクリスマスツリーに触れる女の子

夏の綺麗なドレスの少女は　父親に連れられてショッピングを楽しんでいる

「先程の昼食は美味しかったかい？」　「ええ、パパ」

「地球のジャパンだったかしら・　東洋にあった国

その食事　美味しかった」

「魚や野菜を小麦粉の溶かした液体に漬けてから　油で揚げて・・

ソイソース（醤油）の一種で　食べるもの」

「緑の翡翠色をしたお茶で　

それを注いで　白いジャポニカ米にかけて食べたもの

トッピングで御魚を白いジャポニカ米に乗せて、食べた・・あれは」

「『お茶漬け』だよ　可愛い私の小さなお姫様」「そう、それ！」

白髭のサンタクロースに扮した従業員が　少女にキャンデイを手渡す

「まあ　有難う　メリークリスマス」「メリークリスマス　お嬢さん」

「先にホテルのプールで楽しむかい？お姫様」「うん、そうね」

「じゃあ、水着に着替えて　今日は出来たばかりの無重力プールを楽しむか」

大きな部屋にあるのは無重力プール

宙に浮かぶ大きな水の塊　こちらもプールの一種

潜り、飛び出して無重力プールを楽しむ

無重力空間なので、部屋の中なら空を飛ぶ事も可能

再びショッピングモールで買い物を楽しみ

気が付けば夜の時間前　夕暮れ

もちろんこれらは　此処は人工衛星の中なので　規則正しく

作られた通りのスケジュール