もういいの。

 結局、彼はいってしまった。今日も明日も私はひとり、冷たく狂う波に呑まれる。風にさらわれていく先の、その冷たさが気持ち悪くて。空を切った指先の、その温かさに安堵した。「またね」なんて言葉は、イヤリングと一緒に捨てた。今更それを願うなんて、ね。


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