第43話
曽根山が高木に近づく。一体どんな選択肢が与えられたのか分からないため、こちらも見守ることしか出来ない。ちなみにこれ選択肢に背く行動って取れるのか?あとで黒崎に聞いてみるか⋯⋯。
思考が脇に逸れそうになるのを堪え、曽根山の結果を見守る。
「た、高木さん!」
「?えーっと⋯⋯曽根山くんだっけ?どしたの?」
うおおお!曽根山が高木に声をかけた!何故か初めて高木の声を聞いた気がする!
高木に声をかけた曽根山の顔は、りんごよりも真っ赤に染まっている。本来なら好感度が下がる(主にキモがられて)可能性が高いが、黒崎の
曽根山は2秒ほど俯くと、ズボンをぎゅっと握りしめながら意を決した表情で顔を上げた。
「た、高木さんって⋯⋯幽霊とか、し、信じてますか!?」
えー!何の話!?急に何の話!?怪しい宗教の勧誘にしか見えないんだけど!
俺は「これ失敗じゃないの?」という目を黒崎に向ける。黒崎は、両手をあげて「分からないわ」といった態度をとる。⋯⋯な、何の役にも立たない!
とりあえず事の顛末を見てみることにする。いくらなんでも、これだけで取り返しがつかなくなるくらい好感度が下がることは無い⋯⋯無いよね?
高木は、一瞬キョトンとした顔をする。そしてその後すぐ、ぱあっと明るい笑顔になった。⋯⋯え?
「も、もしかして曽根山くんも幽霊とかUMAとか好きな感じ!?」
「えっ!あ、あー!うん!さ、最近興味が出てきてて〜⋯⋯な、なんか風の噂で高木さんが詳しいとか、なんとか聞いたような⋯⋯聞かなかったような⋯⋯」
「えー!?ちょ、ちょいちょい!お前ら誰だよ〜私がオカルト好きなの言い触らしたの!」
「てへっ」
「こら〜!!」
お、おお!!どうやら曽根山は無事に正解の選択肢を選んだようだ!やるじゃん!
まさかの発見、高木はギャル系だがオカルト好きだったらしい。てか、あの選択肢じゃない方ってどんなだったの?あんな不審者みたいな感じの選択肢を選ぶって、もう一つどんだけ変な選択肢だったんだよ⋯⋯。
高木は友人の女子にオカルト好きを広められたことに腹を立て、その女子に擽り攻撃を仕掛けていた。⋯⋯うん、曽根山くん。顔真っ赤にしながらも擽られてる女の子のおっぱいガン見するのやめようね。なんかそういう視線女の子ってすぐ気付くらしいよ。
よし、ここは俺が更に助け舟を出してやるとするか。
「よお曽根山。それに高木さん?」
「わ、天城くん急に出てこないでよ!ビックリしたなぁ」
「はっはっは」
俺に文句を言うとは、曽根山も偉くなったもんだな。ええ?後で覚えとけよ。
「それより、二人ともオカルト好きなんだって?なんかここ、ガチ幽霊出るらしいぜ。今日の肝試し、せっかくだから二人で回ってみたら?」
「え?なんで私たちがオカルト好きなことと、一緒に肝試しする事がセットになるの?」
「⋯⋯こう言っちゃなんだが、曽根山はかなりオカルトを惹き付ける体質なんだよ。な、曽根山!」
「えっ!?あ、あー!うん!そう!それで困ってて、詳しいらしい高木さんに話を聞いて貰えないかなって!思ってて!」
あ、あぶねえ。高木ってアホそうだから適当に言えば「えー!いいじゃん!やろやろ!」とか言うと思ったんだが、そういや女子ってこういうバリア機能自然と持ってるよな。忘れてたわ。
曽根山にオカルトを惹き付けるという謎の設定を付け加えてしまった⋯⋯。ま、まぁギリギリ有り得ない話でもない⋯⋯いや、有り得ないよな⋯⋯。
「えー!?そうなの!?じゃあ、曽根山くんは私にオカルトから守られて安全、私はオカルトに出会って楽しい!最高じゃん!うぃんうぃんってやつ?」
信じたー!!訳分からんが、なんか信じて勝手に納得してくれたー!!ありがとう、高木!!お前がアホで助かったよ!!
この展開には曽根山もかなり驚いたのか、嬉しがりながらもこちらを睨んでいた。あーうん、そうね。オカルト惹き付けられないもんね。詐欺になっちゃうね。
ま、どうせオカルトなんてこの世に存在しないんだ。適当に誤魔化せばなんとかなんだろ。これはきっかけ作りなんだから。
「それは良かった。じゃ、二人とも楽しんでくれよ〜」
俺は二人に背中を見せながら、手を振ってその場から去った。ふっ⋯⋯天城裕貴はクールに去るぜ。
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高木舞 → 曽根山慎二
好感度:+34
曽根山慎二 → 高木舞
好感度:+83
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