出会い


 辺りは暗くなり始めていて早く森を抜けないと魔物が出て来るのでどうしようか迷っていたら……ガサガサと地面に落ちてる草をふむ音が聞こえてきた。

 それは自分に向かってくるのが分かった。

 魔物のかと思い、とりあえずナタを構える。

 どんどん近づいてくる……それが目の前で止み、木の茂みから出てきたのが…


「え? アビィ!?」


 アビィそっくりの少女だった。

 なぜ、アビィがここにいるのかと聖域から出られないはずではとリックは驚きの余り固まってしまった。


「あの、あなたは誰でしょうか?よくここに入れましたね」


 よく見るとアビィには似てるが雰囲気やアビィより少し成長した感じに見えてきて、ようやくアビィではないことに気づいた。


「すみません、森で迷子になりまして……出口知ってますでしょうか?」

「ここからかなり離れてるわ……今日はもう夜になるので良ければ私の家に来ませんか?」

「いえいえ! そんな……」

「このままだと、あなた魔物に襲われるわよ」


 リックは確かにこのままでは魔物に襲われるのは目に見えていた。

 自分がそんなことで死んだらアビィを助けられない……ここはお言葉に甘えることにした。


「すみません……ではお言葉に甘えますね」

「こっちよ」


 背後に黒いフードを被った人物に気づかないままリックは女の子の後に着いてく。

 しばらくすると森の中にポツンと1軒だけ家が建っているのが見えてきた。


「ここよ」


 着いたのはレンガ調が綺麗で立派な家だった。

 自分が住んでいた山小屋の家とはだいぶ違っていた。


「綺麗な家ですね」

「うふふ、ありがとう」

「一人暮らしですか?」

「いいえ」


 女の子がそう言った途端、誰かが後ろからリックの首に刀を突きつけた。

 気配もなくリックは恐怖で身体を固まらせる。


「お前、どうやって入ってきた……カルア一族の者か」

「カルア一族?」


 カルア一族なんて聞いたことないリックはなぜこんなことになってるのか分からなかった。

 

「リーン、この子は大丈夫よ」

「しかし…」

「この森に入れたのが証拠。あなたも分かっているでしょ?」


 リックを挟んで何やら話していてリックは混乱しているとリーンと呼ばれた者はリック二突きつけていた刀をしまう。

 リックは、ほっと胸を撫で下ろした。


「ごめんなさい……そういえば自己紹介がまだだったね……私の名前はアン。よろしくね」

「俺はリックだ……よろしくな」

 

 

 

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