待ち合わせ

 "アビィを助けたい"

 

 リックはアルテッサにそう言った。

 アルテッサは驚いたがすぐにポケットから紙を出してなにか書き始めた。

 そして書き終わるとリックに手渡す。

 

「これは……」

「明日、この場所に来て」

 

 リックは紙を見るとそこに書かれていたのは地図だった。

 すると突然アルテッサがリックを押した。

 いきなりだったためにリックはバランスを崩すが立て直す。

 そして目の前の光景に驚いた。

 

「俺の家? なんで……」

 

 リックの家の近くには洞窟なんてない。

 なので自分の家にはたどり着かないはずなのになんで? と思い後ろを向くとそこには洞窟などなく、木々が生い茂っているだけだった。

 

「え……?」

 

 リックは目の前で起きたことに頭が追い付かず固まってしまった。

 しばらく固まっていると、雨が降ってきたので、その雨で正気に戻り、急いで家に入った。

 家に入って、アルテッサに渡された地図を見る。

 

「明日、この場所に行けばいいんだよな」

 

 リックはそう思い、色々あって疲れたので今日は明日のためにも寝ることにし、布団を敷いてそのまま眠りについたがなかなか眠れなくて、そのまま眠れない夜を過ごした。


 まだ薄暗い朝にリックは目を覚す。

 もう一度寝ようか迷ったが眠れそうにないのでリックは近くの川へ行き、顔を洗い、軽く朝食を済ませ、改めて昨日渡された地図を見る。


「ここに行けばいいんだよな……あれ?そういえば、いつ行けばいいのか聞かなかったな……」


 アルテッサには地図を渡されただけでいつ頃来て欲しいとかは言われていない。

 リックは困った。

 一体、いつにそこに行けばいいのか……。

 悩んだ末、行き違いにならないように今行くかとなり、地図の場所まで行く。


「確かこの辺のはず……」


 リックは地図に書かれた場所まで来たがどうやらアルテッサはいなさそうだった。

 とりあえず、リックは近くにあった木に寄りかかり座り、アルテッサを待つことにした。

 しばらく待っていると昨晩、なかなか眠れなかった事もあり眠気が襲い、そのまま寝てしまったようだった……気づいたら、太陽がてっぺんまで登っていて、明らかに昼間だった。


「起きた?」

「……ん?」

「おはよう、よく寝てたわね」


 リックは声がする方へ向くと、アルテッサが隣に座っていた。

 しばらくするとリックは自分が寝てしまっていたことに気づいた。


「ごめん! 俺、寝てたんだな……」

「いいよ、昨日あんな事あって眠れなかったんでしょ」

「本当にごめん……」

「ねぇ、リック……今でもアビィを助けたい気持ちは変わらない?」


 アルテッサは聞く。

 リックはなんでまた聞くのか分からなかったが、アビィを助けたいと思っていいる気持ちは変わらない。


「あぁ、変わらないよ……どうしてだ?」

「そう……やっぱりあなたには呪いは効かないのね」

「なぁ昨日も思ったが、その呪いってなんだ?」

「あなたには話してもよさそうね」


 アルテッサはリックにアビィの呪いについて語り始めた。

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