イタズラ天使姫の罠に嵌められて婚姻させられた女悪魔ボディーガード

シイカ

第1話天使キエルと悪魔ローラの最悪な出会い

天使と悪魔……両方が住む世界。魔天界。

そこでは天使も悪魔も平等に暮らしていた。

が、それをよしとしないモノもいた。

現在の魔天界を治める王……は現在、不在のために娘の天使『キエル・ファンタジア』が代わりに王の代理を行っていた。

しかし、彼女を王と呼ぶにはあまりにも残酷な女だった。


整った顔立ち。洗練された肉体美。卓越した頭脳。頭の中心に浮いている輪っかは耀き。そして純白の羽は全てを包み込む。

魔天界誕生以来の逸材と呼ばれていた。

性格以外は。

そこに新たな部下、悪魔『ローラ・マルキフ』が配属になった。

配属になった理由はキエルのボディーガードとしての役目だった。 

そう。キエル姫殿下きでんかの元に殺害予告が届いたのだ。


『お前の誕生日パーティの日にお前を殺す』


予告状には書いてあった。

城中はパニックに陥ったが、キエルは一人、冷静だった。

「この送り主は文章が下手だな。私が直すなら」

と、殺害予告状に添削を始めた。


『お前の誕生日パーティに血の恐怖が待っているであろう。殺されるのはもちろん……キエル、お前だ!!! キエルだけに、消えるのだ!!!』


「全く、殺害予告なんだからこれくらい書かないか」

「あの、キエル様、お客様がお目見えになっております」

「ん、犯人か? 予告通りに来れない奴だな」

「いえ、ボディーガードの方だそうです」

「ボデーガードだぁ?」

 キエルが入り口に目を向けると額に怒りマークを今にも浮かべそうな短い黒髪に黒スーツに身を包んだ、背が高く頭には悪魔の印である黒い角と黒い翼を持っていた。

「いかにも、悪魔って感じだな。黒に黒に黒とは最近の悪魔はもう少しオシャレだぞ」

「失礼ですが、こちらが本当にキエル様で有らせられるのでしょうか? 早くも胃に穴が空きそうなのですが」

「失礼な悪魔だな。クビにするぞ」

「まあまあ、キエル様。こちら、ボディーガードをなさって下さる方ですから」

部下のメイド天使がキエルをなだめるも疑いの目は続いていた。

「頼りになるのか、こいつ?」

「魔天界の王はこんなにも悪魔をお嫌いですか?」

「おいおい、私様わたくしさまは悪魔も天使も愛してるわよ。 だから、王様やってんだよ。それで、貴女、お名前は?」

「ローラ・マルキフです」

「ふむふむ。ローラちゃんね。さっきはあんなこと言ったけど中々に私好みなんだよね」

「光栄ですが、私がキエル様にそのような感情を抱くことはまず、間違いなく、100%ございませんので安心してください」

ローラはすでにボディーガードの任務から降りたくなっていた。

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