06-38 追及と説得と抗弁

「シャールフよ」


 バフラヴィーが静かに語りかける。


「あの男、マリセア宗主シャーラーンは、異様に性欲が強い。

 世間には、公子を得るため、特に第一正夫人、第二正夫人系列の女性に男子を産ませるためとしている。

 確かに、それも否定はできぬ。

 だが、叔母上やネディーアール、そして其方に対する態度を見れば、それだけでないのは明らかだ。

 あの男は、単なる強欲、変態性癖の異常者に過ぎぬ。

 其方は、騙されていたのだ。

 あの男は、其方が自分の息子でないことを知っている。

 つまり、あの男が其方を後継に推すことは有り得ぬ」


「そんな、・・・私を性交の相手にするために、偽りを述べていたというのですか?

 あの、優しさは偽りだったと、・・・」


「そうだ、偽りの仮面をかぶっていたのだ」


「あんなに、優しく、気持ちよく、してくれたのも、・・・ですか?」


 シャールフの言葉に二人が停止する。


「其方、・・・気持ちよかったのか?」


 ナディア姫が恐る恐る、聞く。


「はい、とても」


 コイツ、なんか、うっとりしてないか?


「宗主猊下が自ら、私の後ろの穴を指や舌で丁寧に愛撫してくれたのです。

 更には、高価で貴重な秘薬を惜しげもなく大量に塗りこんで解してくれたのです」


「薬、・・・媚薬まで、使われていたのか、・・・」


 愕然とした面持ちのバフラヴィー。


「私が指だけで十分に達するようになってから、宗主猊下は自ら私の中に精を注いでくれました。

 宗主猊下に初めての相手をして貰えるのはとても光栄なことだと、そのように言われました。

 あの、優しさは、偽りだったのですか?」


 えーと、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「気が遠くなるほど気持ちが良かった、・・・あの美しい思い出が、・・・まやかしだったと、・・・・」


 あの、体重一四〇キロオーバーに嫌悪感ゼロなのね、・・・。

 まあ、テクニックはあるんだろけど、宗主。


「それに、仮に宗主猊下はそうだったとしても、護衛騎士団の者たちも偽りだったのでしょうか?

 皆、私に熱烈に愛と忠節を誓ってくれたのです。

 あれが、嘘だったとは思えません。

 いや、思いたくは有りません!」


 護衛騎士団の愛と忠節って・・・・・・えーと。


「まて、其方、護衛騎士団の男とも関係していたというのか?

 誰だ、騎士団長か?」


 たまらず、声を上げたネディーアール殿下に弟は怪訝な顔になる。


「いえ、騎士団の団員たちです。

 その、・・・私の中は、とても良いのだそうです。

 騎士団の皆は、私が相手ならば何度でも可能だと、口々に褒め称えてくれました」


 ・・・なんか、嬉しそうだな・・・えーと、・・・どしたらいいの?


「まさか、其方、護衛騎士団の全員と関係したというのか!」


 姫様が絶望的な顔になる。


「多分、そうです。

 ですが、繰り返しますが、騎士団員の皆は全員、真摯に熱烈に私に奉仕してくれました。

 彼らは私に最高の気分を、信じ難いほどの陶酔をもたらしてくれたのです。

 彼らが私を騙したとは、とても思えません」


「まて、護衛騎士団の正団員は二四名だぞ!」


 騙されたと認めないシャールフにバフラヴィーが怒鳴る。


「補助団員の従騎士もいるから、もう少し多かったと。

 確か、四〇名ちょっとだと」


 ゴンと音がした。

 ネディーアール殿下が床に頭を打ち付けたのだ。

 一方のバフラヴィーは天を仰いでブツブツと言葉にならないことを呟いている。


「ああ、勿論、一度にそれだけの人数が集まることはない。

 警護の仕事も有るから、普通は十人ちょっと。

 せいぜい二〇人ぐらいだと」


 シャールフが今更の情報を追加する。

 しかし、・・・本当に、コレ、どーすんだ?

 これだけ、がっちり調教されちゃったら、もう取り返しがつかないんじゃ、・・・。

 でも、ナディア姫とバフラヴィーにしてみれば、実の弟だからな。

 見捨てるわけにもいかないだろう。




「其方、少しは抵抗しろ!」


「抵抗、ですか?」


 顔を上げた姉の激昂に、ますます、怪訝な顔になる弟。


「彼らは、私に愛と忠節、そして精とマナを捧げてくれたのです。

 何故、抵抗しなければならぬのですか?」


「男同士でそのような行為をするという事自体が異常なのだ!」


 こちらでは、男性同性愛はご法度だ。

 女性同性愛は普通らしいが。

 ナディア姫の言葉は地球なら集中砲火だが、こちらでは普通だろう。


「其方と騎士団にそんな事をさせて、その間、あの男は何をしていた?

 大方、他の女でも抱きながら其方の痴態をニヤニヤと眺めていたのではないか?」


「・・・確かにそのような事もあったかもしれません」


 弟がしぶしぶといった感で認める。


「少しは、頭を働かせろ。

 周囲をよく見るのだ。

 そうすれば騙されているかどうかがわかる。

 あの男は、其方を見世物にして楽しんでいたのだぞ!」


「それは、・・・そうだったのかもしれません。

 宗主猊下は、私が騎士団員と交わり、乱れるのをとても嬉しそうに、興奮して、鑑賞していたのは事実です」


「そうであろう!」


「ですが、宗主猊下はしばしばご自分も、騎士団員の奉仕を受けていたのです」


 バフラヴィーとネディーアールの目が点になる。


「ご存じのように、男性の精には多くのマナが含まれます。

 若く健康な男性のマナを体内に取り込むことで、自身の魔力量が増え、男性の能力も向上します。

 宗主猊下は、第一及び第二正夫人系列の女性に子種を授けるため日々奮闘されていました。

 ですので、騎士団員たちは当番を決めて、毎日、猊下に精を捧げていたのです」


 カナンの男性の精にはマナが含まれ、それを女性が取り込むと魔力量が増える。

 これは施薬院の教科書にも載っている事実だ。

 だが、男性同士でも可能なのか?

 教科書には載っていなかったが。

 常識だったのか?

 いや、・・・バフラヴィーとネディーアール姫様が困惑している。

 多分、・・・少なくとも、一般常識ではない、・・・のだと思う。

 事実でもない、・・・・・・・・・・・・・・よね?


「猊下と私が座の中央で、騎士たちがその周りを囲み、猊下と私に順繰りに奉仕したこともありました。

 猊下は、『十人ぐらい連続で受け入れると、一段階上の満足感が得られる』と私に語っておられました。

 実際に試してみて、私もその通りだと思いました」


 ・・・なんだ、この説得力。

 そりゃ、宗主が隣で自分と同じ事をしてたら、・・・未成年のシャールフが騙されたのも仕方がない、・・・のかもしれない。

 しかし、・・・宗主スゲーな。

 宗主が『スカトロ以外はコンプリート』した偉人だって事は知っていたが、まさかここまでとは。

 美少年のシャールフをお稚児さんにするぐらい、普通にやるとは思っていた。

 だが、自らのケツを部下に、というのは想定外だ。

 オレ、『スカトロ以外はコンプリート』って言葉は知っていても、真の意味を理解していなかったんだな。

『潰瘍性大腸炎』って言葉は知っても病態を把握してなかった感じか。

『スカトロ以外はコンプリート』って病気を教わった時点で、詳しく病態を教わっておくべきだった。

 そうしていれば、今回のような事態には、・・・あれ、・・・聞いていても特に変わらんような、・・・そもそも『スカトロ以外はコンプリート』の詳しい病態って、知るべきなのか?

 ・・・・・・・・・ま、まあ、今後の課題としよう。


「ですから、宗主猊下が自ら行っていたことを私にされただけでしたので、特におかしなことだとは思えなかったのです」


 これ、・・・調教っていうのかな?

 宗主が自らの趣味の世界に新人をリクルートしただけのような、・・・宗主を弁護する気はないけど。


「確認するが」


 呆然とした顔のバフラヴィーが口をはさむ。


「その、宗主は、常習的に男としていた、男にさせていた、ということか?」


「その通りだが」


 シャールフが頷く。


「猊下は女性に子種を与えるために、特に若く魔力量の多い男性の奉仕を好まれた。

 だから、私自身も何度もご奉仕している」


「待て、其方、其方が宗主に、した、・・・精を注いだ、というのか?」


 バフラヴィー、今日一体、何回、『待て』って言ったんだろう?


「先程、儀式で互いのマナを注ぎ合い、一体化させると言ったと思うのだが」


 うん、確かにそう言ってたような気もするけど、・・・相互通行だとは思わんかったよ。


「お前が、あの男の尻に、その、突っ込んだと言うのか!」


 思わず絶叫するナディア姫。


「姉上の表現はどうかと思いますが、そのような事があったのは確かです」


 シャールフの方が冷静になってきてるな。


「自らの純潔を提供しただけでなく、あの男の尻にまで、・・・其方は、どこまで、あの男にゆがめられてしまったのだ」


 姫様、涙、涙の状況だ。


「あの、正確に言えば、私が猊下に奉仕したのが先です」


「なに?」


「初めに話しましたが、最初に猊下が、自ら指や舌で、私を導いてくれたのです。

 猊下の導きで、私は初めてを猊下の口に放ったのです。

 猊下は、私のを『甘露のようだ』とお褒めになり、マナの量も素晴らしいと絶賛されました。

 それで、私は天にも昇る気持ちとなりました。

 次に、猊下の中に導かれたのですが、猊下の後ろも大変すばらしく、私は、初めてでありながら立て続けに六回も出してしまったのです」


 ナディア姫の口が開いたまま閉じなくなった。


「其方、先程から何度も行為を行っている、・・・ような話をしているが、一体何時から、宗主とそのような事を始めたのだ?」


 バフラヴィーが、自分を落ち着かせるように、問いを発した。


「それは、・・・最初に猊下に導いて頂いたのは昨年の夏、確か、八月だったと思う」


「もう、一年以上前ではないか!」


「私の成人の儀の直後ではないか!」


 二人の驚愕が悲しい。


「守役でありながら、全く、気づかなかった」


 バフラヴィーが何度目かの苦渋の表情を見せる。


「私も気づかなかった」


 ネディーアール殿下がさめざめと涙を零す。


「私は、其方が、無理やり言う事を聞かされていたと思っていたが・・・其方、本当に、その、苦痛ではなかった、ということなのだな?

 だから、様子も変わらなかったと」


「最初から無理強いなどはなかったと申し上げたつもりなのですが」


 姉の涙に弟が戸惑った表情になる。


「回数から考えると、猊下が私に、よりも、私が猊下に奉仕した回数がはるかに多いのです。

 猊下が女性に子種を注ぐ場合、子作りの場合は、特に濃い精を必要とします。

 このため、その場合は可能な限り私がお手伝いしました」


「子作りの手伝い、だと?」


 オウム返しで聞いてしまう姫様。


「他の男性に後ろから精を注いでもらえば、より多く、より濃い、精を出すことができます。

 特に、若く、健康で魔力量も多い男の精が良い、とのことで、私が指名されたのです」


「あー、いやー、・・・では、あの男が女とヤッている最中の、その後ろから其方があの男の中に、・・・」


「猊下は女を妊娠させるために可能な限りの努力をされていたのです。

 ですから、私が猊下の中に、そして、私自身が濃い精を出すために、護衛騎士団長が私の中に、更にその部下が騎士団長の中に、という形で繋がりました。

 十人程が、タイミングを合わせて一斉に精を放つことで、最高の精を女性の中に放つことができるのです」


 シャールフの説明の途中から、バフラヴィーが動かなくなってしまった。

 天を仰いだまま、ただ涙を流すだけで、微動だにしない。

 一方、ネディーアール殿下は両手で口元を押さえてうなっている。

 どうやら、吐き気を催したらしい。

 想像しちゃったんだな。




 宗主は、最盛期は体重一四〇キロオーバーだったからな。

 ちょっとダイエットして、一二〇キロ程度。

 ガ〇ダムで言えば、デ〇ン・ザビ公王。

 デ〇ン・ザビをもうちょっと太らせて、髪の毛をはやした感じ。

 騎士団長は、結構ガタイの良い男性だったと思う。

 ド〇ル・ザビってほどではないが、ラ〇バ・ラルぐらいはあった。

 部下の騎士団員も結構ごつかった。


 つまり、だね。

 デ〇ン・ザビが女に突っ込んでる最中のそのお尻に美少年シャールフが取りつき、シャールフのお尻にラ〇バ・ラルが、更にその後ろにア〇ース、コ〇ン、ク〇ンプと一列縦隊数珠繋ぎ。

 うん、中々にインパクトのある、ありすぎる絵面だ。

 理解も、免疫もないナディア姫が吐くのも致し方ない。


 オレ?

 オレは理解も免疫もあるから。


 あれは、確か、十代も終わりのころだったと思う。

 当時、無謀で無鉄砲で怖いもの知らずだったオレは、ちょっとした冒険のつもりで、とある繁華街のその手のお店に入ってみたのだ。

 小さな店で、入って直ぐの正面にレジ兼カウンターがあったのだが、そこに『新入荷』のビラがあり、DVDが平積みになっていた。

 今でも覚えているが、題名は『重役の恋』だった。

 念のため書くが、『重役秘書の恋』ではない。

 パッケージには、ゴマシオ頭で中年太りの、・・・もとい、ロマンスグレーのやや恰幅の良い男性二人が、膝立ちで正面から抱き合ってキスをしている写真があった。

 ちなみに、二人とも白ブリーフ一枚である。


 オレはそのパッケージを見たまま凍り付いた。

 しばらくして、店主がオレの横に来て、肩に手を置き、『興味があるのかな?』と囁いた。

 その瞬間、オレはダッシュで店から飛び出した。

 そのまま、やみくもに一〇〇メートル程全力疾走してしまった記憶がある。


 その時、オレは悟ったのだ。

 まず、この世には、あのパッケージの写真で興奮できる人間が存在するということ。

 次に、その種の人間は、普通のAVなどでは、全く満足できないのだということ。

 最後に、オレはそっちの気が全くないこと。


 正直に言うが、当時は『オトコの娘』なんて言葉が出始めた頃で、オレも、ちょっとは興味があった。

 だが、現実の一端を垣間見た事でオレの認識は完全に変わった。

 オレは『重役の恋』に恐怖しか感じなかったのである。

 ただ、それからは、ある意味、理解したというか、免疫ができたので、そちらの方々とも普通に接するようになれたと思うし、その手の画像や動画を見ても、さほど動揺することは無くなった、と、思う。




 しかし、・・・これ、どうやって収めるんだ?

 ・・・・・・・とか、考えていたら、バフラヴィーがいきなり発火した。

 怒涛の勢いでシャールフに近寄ると、両手で両肩をつかむ。


「シャールフ、其方は間違っている!」


「その、猊下との関係の事か?」


「いや、それだけでなく、間違っている!」


「あー、いや、だから、なにが間違っているのだ?」


 両肩をがんがん揺さぶられ、辟易した表情のシャールフが心底不思議そうに尋ねる。


「だから、全てが間違っている!」


「全てと言われても、・・・騎士団の者たちとの事もか?」


「そうだ、騎士団も含めてだ!」


「だが、あの者たちは、純粋に愛と忠節とマナを捧げてくれたのだぞ!」


「だから、受け取ってはならん!」


 バフラヴィー、両目が血走っていて、かなり怖い。


「彼らは純粋なのだぞ、それに、とても気持ちよくしてくれる」


「だから、そんな事で気持ちよくなってはならん!」


 もう、熱意と迫力だけだな。

 こじつけの理屈すらない。

 まあ、もう、これしかないのかも知れんが。


「私に、あの至福の一時を捨てろと言うのか!」


 至福、なんだ、・・・。


「今回の出征前には騎士団の結束の儀式に特別に参加させてもらったのだぞ!」


「結束の儀式、だと?」


 だから、聞くなよ、バフラヴィー。


「うむ、騎士団全員で輪になって繋がる、つまり、前の者に挿入し、後ろの者を受け入れ、二四名で輪になって、一斉に達することでマナを循環させ、マナを同化し、心と体の結束を固める儀式だ。

 私は特別に二五人目として参加を許されたのだ!」


 あー、前に似たようなのを見た記憶がある。

 確か題名は『OH!OH!OH!輪になって盛ろう!』だった。

 この趣味の方々って多人数プレイを好む傾向にある、・・・気がするのは、オレの偏見だろうか?


「だから、全て、忘れろ!頼むから、忘れてくれ!」


 力任せに、シャールフの肩を揺さぶるバフラヴィー。


「そんな、・・・皆と気持ちを一つにした、あの儀式もダメだというのか・・・」


 これだけ、ドップリと漬かってる人間に、何を言っても、ねぇ。


「いいから、忘れろ!

 昨年の夏からの思い出は、全て、きれいさっぱり忘れるのだ。

 でなければ、其方はまともには戻れん!」


「私が、真面ではないというのか?」


 驚愕のオトコの娘。


「全ては、あの男、宗主シャーラーンの戯言だ。

 騎士団もダメだ!

 其方が男性同士で常習的に行為を行っていると世間に知られれば大変なことになるぞ!」


「そんな、・・・猊下だけでなく、私を慕ってくれて、愛と忠節とマナを捧げてくれる騎士団の皆との関係まで断ち切らねばならぬと、そういうことなのか?

 それは、あまりにも、・・・」


 涙目になっているオトコの娘殿下。

 余程、良かったんだな、・・・いろいろと。


「忘れろ!

 絶対に忘れろ!

 完全に忘れろ!

 いや、其方が拒否しても私が無理やりにでも忘れさせてやる!」


 熱意は分かるけど、・・・大声を上げれば通るってもんじゃないよね。

 シャールフ殿下はバフラヴィーの迫力に呆然としていたが、ややあって、意を決したように口を開いた。


「分かった。

 バフラヴィーがそこまで言うのであれば、私は宗主猊下や護衛騎士団との関係を断ち切る」


 え、・・・・・・分かっちゃうの?


「実は、私も、・・・以前からもっとバフラヴィーとは親密になりたかったのだ」


 あれ、表情、変わってね?


「バフラヴィー!私に全てを忘れさせてくれ!」


 絶叫して、バフラヴィーに抱き付くオトコの娘。

 バフラヴィーは身長が高いからシャールフとは二〇センチ以上差がある。

 抱き付いたシャールフは、上気した顔をやや上に向け、目を閉じ、そっと唇を突き出す。

 あー、そーゆー事か。

 この子、バフラヴィーに惚れてたのか。

 あんな内容で、なんで説得されちゃったのかと思ったけど、・・・納得。


 それは、それとして、抱き付かれたバフラヴィーは大変だ。

 完全に固まっている。

 予想外、だったんだろうな。

 あ、顔がけいれんし始めた。

 末期だな。


「ダメだ。それは、ダメだ」


 焦りまくったバフラヴィーがシャールフを突き放す。


「ダメだというのか?」


 突き放されて驚愕するシャールフ。


「忘れさせてくれるのではないのか?

 バフラヴィーは私に魅力を感じてはくれぬのか?」


「魅力、・・・・・・・・・・」


 また絶句してしまう守役。

 まあ、地球でも、同性愛者の告白は難しいからな。


「いや、ダメだ。

 だから、男性同士というのは、世間に露見すれば、・・・」


「秘密裏であれば、良いのであろう?」


「だから、その、秘密裏であっても、その、・・・ああ、そうだ。

 其方と私は血縁、兄弟だからそのような事をしてはならぬのだ」


「兄弟と言っても、異母兄弟であろう。

 男女で有れば結婚も可能な間柄ではないか」


「いや、ダメだ。

 男同士の場合は異母兄弟でもダメなのだ!」


 ・・・苦しいな。


「そんな、騎士団の者たちとの関係を止め、バフラヴィーにまで見放されたら、私は一体どうすれば良いのだ?

 私には頼りになる、心も体も導いてくれる男性が絶対に必要だ。

 でなければ耐えられぬ!」


 涙目のオトコの娘殿下。

 あー、もー、言っちゃなんだけど、この子、『修正』は無理だろ。

 だって、体重一四〇キロのデ〇ン・ザビのお尻に、初めてで抜かずの六連発決めちゃうオトコの娘だよ。

 本物過ぎるだろ。

 今回の事が無かったとしても、遅かれ早かれそっちの方向に開花しちゃったんじゃあないかなぁー。

 己の道を貫かせて、貫いて貫かれて、やった方がいい。

 それが、本人の幸せだろう。

 解決策は、・・・適当な男を宛がう、・・・ぐらいかねぇ。


「バフラヴィー、本当に私ではダメ、なのか?

 私には魅力が足りぬのか?」


 上目遣いに、自然と媚を売るシャールフ。


「ダメだ、その、魅力が無いという訳ではなく、・・・いや、とにかく、ダメだ」


 冷や汗、ダラダラのバフラヴィー。


「そうだ、キョウスケを其方の側近にしよう。

 キョウスケならば、其方も満足できるのではないか?」


 へっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「え、キョウスケか。

 いや、そうだな、キョウスケなら、・・・。

 昼の決闘もすごかったが、夜のあの、・・・あの太さと長さ、何より、あのスタミナ、・・・」


 お前、なに、うっとりしてんだよ!


「うむ、其方が良ければ、それが最善であろう。

 早速、キョウスケに話を、・・・・」


「オイィィィィィィィィィィィィィィィィィィ、ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 オレは思わず叫んでいた。

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