第192話 ただ月を見ていた

 寝袋に入って地面に寝転がった。

 イヤホンから流れる音楽は、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン。夜空にひときわ輝く青白い月が、疲れた心を穏やかにする。

 毎日の訓練は厳しいが、それもすべて夢を叶えるためだ。

 いつかあの地に立つ日を夢見て、ぼくはただ月を見ていた。

 我知らず、涙がこぼれた。

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