第115話 坂道・猫
本屋の扉を開けると猫が一緒に入った。追い出そうとする私に店主は「いいんだ」と微笑み、猫を膝の上に置く。
坂道を転がるように営業が悪化したとき、この猫が迷い込んだ。以来「猫のいる本屋」と話題になり客が増えたそうだ。
「幸運の招き猫さ」
店主に頭をなでられ、猫は目を閉じ喉を鳴らした。
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